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【2020/02/22 01:54 】 |
第42話 何事も始まるまでが大変 1




「……なんの真似?」

銀時は苦々しく尋ねる。

「俺をバカにしてんの。担架も助けも要らねぇんだよ。目ェなんか見えなくったって一人で歩けますぅ」

「アホか。知らねェ場所で行けるわきゃねぇだろ。とっとと手ぇよこせ。抱いてってやっから」

「サムライがそんなみっともない真似できっか」

銀時は警察車両の後部座席から闇雲に身を乗り出す。

「俺くれェになるとな、一度通った場所は体が覚えてんだよ。まわりの気配が肌で分かんだ。気合い入れりゃ歩けねーはずねェ」

「オイ」

「触んなつってんだろ」

土方の手を嫌がって車を降りる。

真選組屯所、中庭。

車寄せの玄関で隊士たちが見守る中、銀時は真っ直ぐ立つと深呼吸する。

目には遮光性の黒い包帯を巻いている。

「入り口、こっちだろ?」

ひとわたり包帯の顔をぐるりと巡らせてから、ひとつの方向を指さした。

たしかに通用口はそっちだ。

「ニオイで解んだよ」

感心して驚く隊士たちに得意そうに言って歩き出す。

単衣の着流しに、足元は退院のとき便宜的に用意された下駄。

カツンと鳴らして敷石を踏む。

戸口を目指したところで

「旦那ァァ!」

「あたっ!」

玄関ポーチの丸木柱に片足をぶつけてバランスを崩した。

「言わんこっちゃねぇ」

後ろから土方が隊士たちと共に受け止める。

「何年サムライやろうが無理なもんは無理なんだよ。テメーら、このまま連れてっちまえ」

「冗談じゃねェ、人に運ばれるなんてまっぴらだ、んぎゃあ!」

左右から数人で肩と腰を抱えられると体が浮いて足がつかないまま屯所の廊下をドタドタと移動させられていく。

「歩ける、歩けるっつーの!」

「素直に担架に乗っときゃよかったんだよ」

すぐ左肩に土方がいる。

「こんな慌ただしい入場があるか」

「知らねーよ、オメーらの都合なんか!」

「今から行くのはな、突貫で改装した棟なんだよ。屯所の中でも守りの固い居住区に、新たに設けられた所帯持ち用の集合住宅だ」

「集合住宅?って、棟割長屋みたいな…?」

「そんなトコだ」

庭に降りて、しばらく運ばれると新しく削られた木材のニオイがしてくる。

空気の流れが変わる。

建物の陰に入る。

と、戸口を潜って銀時は室内に降ろされた。

「…ここ?」

銀時は感触を探る。

自分が降ろされたのは布団の上だ。

新築の家の、新しい畳のニオイと噎せ返るような木の香り。

「びっくりしたでしょ?」

運んできた隊士たちが声を掛ける。

「もと厩舎を離れの道場に使ってたのを家族用の住まいにしちゃったんですよ、見る間にやっちゃうから俺たちもキツネにつままれたみたいで」

「見る間にって、どんだけ急造? 住めんのかココ!」

「茂吉っていう、江戸には凄腕の職人がいるんですよ」

「…茂吉?」

聞いたような名だ。

銀時はちっちゃいオッサンたちを思い出す。

「もういいだろ、夜も遅ぇんだ」

後ろに立っていた土方が隊士たちを追い立てる。

「てめーらは配置についとけ。くれぐれも覗きに来んじゃねぇぞ」

「副長、ずるいですよ!旦那を独り占めする気ですか!?」

「もともとコイツは俺のモンだ」

「鬼!旦那はケガしてるってのに信じらんねェ」

「誰が怪我人相手に無茶すっかァ!俺は室内警護だ、手なんか出さねぇよ!」

「旦那、無理矢理されたら呼んでくださいね」

隊士が言い聞かせる。この声は山崎だ。

「俺たちいつでも駆けつけますから」

「あぁジミー君?」

銀時はそちらへ顔を向ける。

「ウチの神楽、どうしてる?」

「お元気ですよ。たくさん…食べてます」

山崎の間を含んだ溜息まじりの応答に、神楽がどれだけ屯所の食材を消費しているか表れている。

神楽が新八を案じて飛び出して行こうとしたのを真選組隊士が取り押さえて屯所に軟禁してるのは銀時も知らされている。

銀時が大事にしている子供たちの情報について土方が隠し立てすることはなかった。

「新八は?」

「おそらくですけど…鬼兵隊と行動を共に」

「…ふぅん」

銀時は注意深く頷く。




続く


 

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【2012/11/24 08:31 】 | 高銀小説・1話~完結・通し読み | 有り難いご意見(0)
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