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団子屋の店主に捕まった。 「してねーよ、そんなスキャンダラスなこと」 「見たって言ってたぜ」 「なんかの間違いだろ」 「それもそうなんだけどよ、団子のツケ払ってけよ」 「のど焼け団子って知ってるか。みたらしとろとろの中にひとつだけワサビ入り激辛が混じってんだよ。合コンとかでロシアンルーレット的なアイテムは需要が伸びてんだよ。出血大サービスでアイディア料とツケを相殺してやるわ」 「ダメだ俺ァ、わさびみてェな辛ぇ団子には興味ねーから。それよりよォ、銀時お前たまったツケ払ってけよ」
「のど焼け直し飴ってのもセットで売るといいらしいぜ」 「俺はアンタが誰を知ってるか知らねーよ」 「またまたァ、隠さなくたっていいだろ。俺と銀さんの仲で」 長谷川はサングラスごしに興味の視線を向けてくる。 「最近いつもんトコにいないからどうしたのかと思ったんだよ。隅に置けないねェ」 「懐が寒いんだよ、飲み歩くには」 「もういいや、言っちゃおう」 銀時の耳に長谷川が小声で告げる。 「俺、ソイツに妬いてるかもしれないんだわ」 「あー、そうなんだ。ごくろうさん」 「お前と分かり合える同種は自分だけ、みたいなさ。なんかお前は俺をそんな気にさせる雰囲気がある」 「だろうな。俺ァ皆をそんな気にさせながらここまで生き抜いてきたからよ」
「ホント、今度見せてよ。アツアツの彼氏」 昼のかぶき町を歩いていた狂死郎と八郎に出くわした。 「かまっ娘倶楽部の人たちが騒いでましたよ。あんなイイ男、見たことないって」 「オイオイ、どこまで話が広がってんだよ」 「あの人たちがあんなに夢中になるなんて、少々ホストとしてのプライドをくすぐられましたよ」 憂い顔でうつむきながら、フッと銀時に眼を走らせて笑みを浮かべる。 「是非、店にお連れくださいませんか。無料招待させていただきたいので」 「なに闘争心燃やしてんの、この人。まったく意味ねぇエネルギーがメラメラ燃えてんだけど」 「僕は貴方と近しい方を拝見したいだけですよ」
「いやもう、ホントお構いなく。全力で放っといてほしいんで」 「知らねーよ。俺は犬を連れて散歩してるだけだ」 「相手は凄味のある兄ちゃんだって?あれか、鬼兵隊の大将か!」 「なに言ってんのォォ!!このクソジジイィィィイ!!!」 「がははは!隠すこたァあんめぇ。大将と白髪の仲ァ昔っからよく聞く話だ!それより銀の字、おめぇんとこのガキ、誰かに入れ込んでるみてぇだな。心当たりはあるか?」 「俺んとこのって…神楽?新八?」 「メガネの坊主よ。おっと、もしかして本人の前で言っちまったか。まあアイツには黙っとけよ!俺が言ったっていうんじゃねェぞ!」
さも可笑しげに歯を見せて源外が笑う。 編笠を深く被った僧侶姿の桂が橋のたもとに座っていた。 「貴様、あんなことのあとでよく逢引などという破廉恥な行為に及べたものだな」 「破廉恥なのは、お前の失恋ヘアーだ」 「…フン」 くい、と頭を上げて横に立っている銀時を見上げる。 「次に会ったら斬るんじゃなかったのか」 「お前ね、そう簡単に斬れると思う?」 銀時は桂の視線を受け流し、はぁ、と大きな溜息をつく。 「大根じゃないんだよ。お互い手の内は知ってるし。こないだの怪我まだ治ってねーし」 「お前とヤツの接近を快く思わない輩もいるだろう」 編笠が動いて桂の顔が見えなくなる。 「これは忠告だ」 高杉と関わるな。
立ち去る銀時を追う桂の声が告げる。 黒い制服の二人連れ。 横道から出てきた沖田に呼び止められた。 「ちょうど良かった。聞きたいことがあったんでさァ」 後ろから土方がゆっくり、しかし銀時を逃さぬ足取りで近づいてくる。
銀時は身体を正面に向けたまま、曲げた左腕を木刀に肘かけて肩越しに彼らを眺めた。 PR |
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