忍者ブログ
  • 2019.10
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2019.12
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2019/11/19 06:33 】 |
【最終話】第73話 エピローグ





「幕府は白夜叉を人身御供にすることを断念しましたよ」

佐々木異三郎が高杉に告げる。

「現在の坂田銀時は白夜叉の子孫であると広く世間に浸透しました。アレを白夜叉本人と決めつけて断罪するのは幕府にとって外れの公算が大きい賭けです」

「幕府が世論を気にする日が来るたァ、言論統制もずいぶん弱まったもんだ」

高杉が笑う。

「真選組がマスコミを駆使した功績かね」

「当面、見廻組に坂田銀時の捕縛を持ちかけてくる幕臣はいないでしょう。本人が『自分が白夜叉である』とバラさない限りは」

「あのバカのことだ。いずれやりかねねェ」

「貴方からの定期的な口止めをお勧めします」

「無駄だな。アイツは困ってる奴にゃ誰にでも手を差し伸べる。真選組でも攘夷派でも誰にでも手を差し伸べる。それがアイツの生業、なんでも屋だからな。アイツにとっちゃ、どっち側もコッチ側も無ぇんだ」

「では逮捕の際には市井に生きる一般市民の生活のための正業と。そんな方向で取り調べておきましょう」

「すまねーな。今回は助かったぜ」

「いえいえ、お安いご用ですよ」

裏門をくぐって佐々木異三郎は高杉家を辞する。

「これも私にとっては貴方が見せてくれる面白いもののひとつにすぎませんから」

 

 


新八が恒道館に帰宅し、神楽が押入れに寝てしまったあと。

銀時は定春を連れて散歩に出る。

かぶき町を抜けて空き地や草むらの多い住宅地へ。

よろこんで定春は銀時を引きずりながら散歩の順路を歩いていく。

「今夜は一段と涼しくなったもんだ」

そして神社の前で出会うのだ。

定春と、定春の大好きな飼い主にとって特別な存在である高杉という男と。

「こんな日はテメーの作った鍋に限らァ」

「実家に取材拒否の料理人みたいなの取り揃えといて、なに言ってんの」

「オメーのメシにゃ敵わねェ」

間髪入れず。

「なにを置いても食いてェ味だ」

「んぇ。そ、そぉ?マジで? …んなわけねーよ!」

「おやおや。オカンムリかァ?今夜はメシにゃありつけねェか。俺りゃなにをしくじっちまったかね?」

「…肉。昼間、あんだけいいの送っといて、しくじってるわけねぇだろ。ちゃんと鍋つくったよ。今夜は鍋ですぅ!」

高杉に会うと銀時は機嫌のいい匂いを出す。

そして高杉は7枚くらい食べただけでお腹いっぱいになる素敵な肉をくれる。

定春は高杉が好きだ。

だから銀時がゆっくり歩きたい、という匂いを出しているから協力することにする。

「星がよく見えらァ」

いつもの道で高杉が夜空を仰ぐ。

「届きそうで届かねェ。昔っから俺りゃあのキラキラしたモンに焦がれてたっけ」

「高杉の星好きは異常だよなぁ」

銀時も見上げる。

「先生が『天体は方向を見失ったとき道を指し示してくれる標(しるべ)です』なんて言ったもんだからオメーとヅラがのめりこんじまって。競争で星図つくったりしてたっけ」

「俺の言ってる星はオメーだぜ?」

空へ行っていた視線が帰ってくる。

「俺がのめりこんだ星は銀時、お前だ」

「あ…ぇっ?」

「俺がいつも愛でて探してる星はオメーなんだよ。どこにいても輝く。眩しいくれェに光を放つ。夜闇にあってひときわ煌めく銀色の星。俺をこんなに惑わすモンは他にねェ」

「そッ…、そんな大変なことになってたの俺、お前の頭ン中で?」

「お前はいつだって俺に道を示してくれる。今回だって例外じゃねェ」

「俺、お前のお気に入りは北極星だと思ってた!」

銀時が彼方の星を指す。

「明るいし!どっからでも見えるし!だから新八にあのパスワードを渡したんだけどォ!」

「あぁ。たしかに受け取った」

高杉は笑んでいる。

「ありゃ受け取っちまえば即座に解けるが。それを読み取るまでが手強かったな」

吉田松陽に教えを受けていたとき。

昼の北極星を見る方法論を巡って一悶着あった。

樹木のウロを選んだ高杉たちと、空井戸から見ようとした数人の塾生たち。

見えなかった空井戸組が論を取り繕って雑誌に投稿し、それが作為的に仕立てられた偽証であると看破されて学術機関から咎められたのだ。

「あんとき捏造(ねつぞう)って言葉初めて覚えた」

銀時が唇を尖らせる。

「意味は『ウソのストーリィをでっちあげること』。オメーに祝言は本心じゃねぇ芝居だから乗せられんなって伝えるには、うってつけだと思ってよ」

「申し分のねぇ選択だ」

「…だろ?」

銀時の尖っていた唇が平らになる。

「俺もさぁ、アレ思いついたときは天才じゃね?って思ったね。どっからともなくスーッと言葉が降りてきたからね」

「あぁ、天才だな。テメーにゃ誰も敵わねーよ」

「やっぱりィ?」

唇の端が気分よさそうに上がっていく。

「まぁね。高杉も星を見ながら俺を思い出してたんだろ? これから星を見るたび高杉のこと思い出しそうじゃね?星を見上げて切ない顔してるオメーの横顔をよォ、ぷぷぷっ」

「そいつァいい」

高杉が目を伏せて笑う。

「星を見るたびオメーは俺を思い出すわけだ。悪い気はしねェな」

「んぁ…、」

銀時はチラッと高杉を見る。

なにを言っても否定されない。

そろそろ気恥ずかしい。

「あ~…あ、そうそう。鍋さぁ、すげー気合い入れて作ったから!」

突っこみどころを用意してみる。

「肉が来てから材料買いに行って、夕方4時から作り始めたんだぜ!?も~白菜なんかオメー好みに煮えてっから!鶏とか十分下処理してっから臭みとか全然ないしッ!」

「オメーがそんだけ自信もってんだ。さぞ良い出来だろうよ」

お前は俺の味の好みを知ってんのか、とか。

素人が気張ったって、たかが知れてるだろうよ、とか。

そんな返しを予想してたのに高杉は機嫌のよさそうな声で応えるだけだ。

「あ、あのォ…たかすぎ、くん?」

「見ろよ、銀時」

こいつどうかしちゃったの?と顔色を窺おうとしたとき。

高杉は、いつか銀時が肝を冷やした集合住宅を見上げる。

「あの左から2番目の部屋。先だってから一向に人が入らねェ」

「…エ?」

「その上の上の階も空室じゃねェか」

「あ…、まぁそうだけど」

示された部屋は入居者がいないためカーテンが開いている。

窓からガランとした暗い室内が透けて見える。

「俺りゃよォ、考えたんだが」

高杉が声を押さえて耳打ちする。

「あの2番目ってェのは…位置が悪いんじゃねェか」

「位置?なんの位置?」

「だから…具合が悪いんだろうよ。縁起的な意味で」

「縁起的って、それは、」

銀時の両足が思わず爪先立つ。

「もも、もしや、夏に聞くと涼しくなるよーなカンジの?」

「『出る』んじゃねェか?」

真顔で言う。

「でなけりゃあの場所だけ人が寄り付かねェのは説明つかねェ」

「なな、ななななッ…!!」

高杉の観察眼は突拍子のないことでも正確に言い当てる。

「なんてこと聞かせやがるぅ、俺は毎晩ここ通っ…ぅッ、うッぎゃぁああーッ!」

勝手に身体が駆け出す。

定春の引き綱を持って全力で。

一目散に騒がしい繁華街めざす。

「…テメーがあんまり可愛いんで呆れるぜ」

逃げていく銀時の後を高杉はノンビリ歩いていく。

「ひとつの部屋を挟んだ上階と下階に人が入らねェってことは、その部屋が並以上に騒音を立てるから人が居着かねェって相場が決まってら」

高杉の声が届く。

「あんなところに恐ろしげな因縁でもあると思ったのかァ?」

「んだとォーッ!」

銀時は息を切らして振り向く。

「てっ…、テテテテメッ、知ってたよ、分かってたからね!誰も怖がってねーぞゴラァ!」

「…ぶっ」

目の色を変えて果敢に肩を突っぱる銀時を見て、思わず吹く。

こんな瞬間をくれるのは銀時だけだ。

「んあッ、笑ってんじゃねーよ!」

「ククッ…すまねーな」

「ちょ、お前、俺のことバカにしてね!?生身で戦艦に突っこんでくバカとか陰口叩いてねぇ!?」

「言ってねェ」

「ウソつくんじゃねェ、チラッチラ聞こえてたからね!ヅラとゴチャゴチャ言ってたの!」

「そりゃ違うな。聞き間違いだろ」

「どう違うんだよ、言い逃れすんじゃねーよ、単行本ひっぱり出して確かめるかんな!」

「好きにすりゃいい。俺りゃ法螺は吹かねェ」

 

このごろ夜中に散歩すると高杉と会う。

犬の散歩に途中から加わってそぞろ歩き、なにということもなく喋る。

以前と違うのは高杉が途中で身を翻して行ってしまわないことだ。

今は二人で万事屋へ、一緒に同じ場所へ帰る。

「俺とお前の組み合わせってさぁ、マズイんじゃねーの?」

銀時が後ろに尋ねる。

「過激派テロリストとプロパ…プロパン……そのォ、旗頭な俺がいたら目ぇつけられんだろ?」

「お前は白夜叉じゃねェ、その孫だ」

高杉が銀時に続いて階段を登る。

「白夜叉はオンナになって元へは戻れねェ。時間を越えて過去へ行っちまった瞬間も記録されている。白夜叉がこの世に居るはずねーんだ」

「そーだけど」

定春の引き綱を外す。

「孫っていうより、まるっきり本人なんですけど」

「世間は白夜叉の悲恋が今生で成就することを歓迎している。幕府もむやみに手が出せねェのさ」

引き戸を開けて定春を入れる。

銀時は手探りで電灯のスイッチを探す。

「オメーが苦労して勝ち得たのは、お前が自由に想いを遂げる権利ってわけだ」

「オレ、やっちまったよなぁ」

玄関を入る。

「まさかこうなるとは思わないものなァ。…あ、高杉。おかえり」

「ただいま」

引き戸が音を立ててピシャリと閉じる。

電気が点く。

話し声と物音が板の間へ移っていく。

部屋を満たした温かい色の光が万事屋の窓から漏れ出した。

 


終わり





読んでくださってありがとうございました!

 

拍手[39回]

PR
【2012/11/17 08:12 】 | 高銀小説・1話~完結・通し読み | 有り難いご意見(2)
<<第72話 終章7 | ホーム | 11月23日拍手レス>>
有り難いご意見
無題
凄かったです!……なんかもう凄かったです!それしか言えません!幸せになれよ高銀!
【2014/08/20 01:59】| | ミカエル #4cff37d347 [ 編集 ]


無題
ミカエル様

こんにちは!コメントありがとうございます!!
熱くなるお言葉をいただいて感無量です!
読み切ってくださった勢いが伝わってきます!
最高のお褒めの感想を零してくださった、そんな心地です。
凄かったですか!?うっひゃ~!嬉しいです!!
このあと銀ちゃんは甘々のえろえろに高杉とイチャつく毎日だと思います。
余市も高杉と銀時には幸せになってほしい!
原作はどうなるか分かりませんが、せめて二次では!

読んでくださってありがとうございます。
また思い出したときにでも読み返しにきていただけると嬉しいです。
お待ちしています!
【2014/08/21 16:05】| | 余市 日夏 #4fbce53a7e [ 編集 ]


貴重なご意見の投稿














<<前ページ | ホーム | 次ページ>>