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身をかがめて迫ってくる気配に銀時は必死で叫ぶ。 「てっ、テメーが何しようが俺は言いなりになるしかねェ、だから焦んな、逃げねーからッ、」 実は猛然と床を蹴って後ろへ逃げようとしているのだが、足も身体もまったく動かず、幸か不幸か相手には静止しているようにしか映らない。 だらだら汗を垂らしながら銀時は詭弁を弄し、得意の口先で活路を見いだそうとする。 「ホ、ホラ…あれだよ? オメーずいぶんムチャしたみてーじゃねぇの。なんか事情あんだろ? どうしちゃったかなァ、って気にしてたからさ、オメーの話が聞きてぇなって、思ってんだよ。よ、よよよかったらさァ、オメーの話、聞かせてくんねぇ?」 『………ギィ…』 「さ、最近どうしてたの。体とか壊してね? あんまり酷使すんなよ、生身がイカレちまったら元も子もねーんだから。 …ぶっちゃけ具合どうなの。体とかアタマとか痛いんじゃね?」 接近の動きが止まった。有効と見て銀時は捲(まく)したてる。 「お、俺はね、オレはだよ、オメーのことが心配なんだよ。オメーはさ、本心じゃねーんだろ、こんなの? やりたくねぇけど無理矢理、突き動かされてるってーか…、ホントは嫌なんだろ、こんなの?」 指先も身体も動かない。 動くのは口だけだ。 でなければとっくにここから激走している。 「本当のお前と話してェんだよ、俺は…だからさ、いろんな面倒なモンとっぱらって、オメーの顔が見てぇ、ってーか…、っア、気にすんな、べつにオメーに何かさせようとかじゃなくてだな、純粋にオメーの顔が見たいと思っただけだから、嫌ならこのままで…」 『ギ、…ギントキ、……』 歯車めいたぎこちなさで、その口が言う。 『サカタ…、ギントキ……』 「………う、うぁあ、そ、そうだよ。俺だよ、なに…?」 相手の反応が読み取れない。呻きと荒い息遣いしか聞こえない。 『欲しィ…欲しィィ…』 「も、ももも、もう貰ったろ? 手に入ったじゃねーか、よかったな、あとはオメーがなんでここまでやったか、だろ?」 笑顔を作ったつもりだが顔まで強張ってるせいか笑みが引きつる。 「いわゆる告白タイムってヤツ? オメー、俺のことなんだと思ってんの?雑巾?」 『グガ…、ググ…』 「いや、だからね、オメーは俺を探してたんだろ? ってことは何か言いたいことでもあるんじゃねーの、って思ったわけだ。俺でよかったら聞くから。なんでも聞くから言ってみ、ホラッ!」 銀時の胸がドクドク鳴る。 本能的に危険を察知する。 もたない、コイツはもう。 ─── ヤる気だ。 『眩しィ…悔しィ…光を追うダケ…お前にナレない…』 声帯から軋み出すような音。 『欲しィ…お前を得られナイ…コロせ…俺だけのモノ…』 カラクリが立てる音のように抑揚がない。 『犯セェ…食ゥ…あの人は俺のモノ…あの人のモノは俺の…俺はあの人のモノ…』 「あの人って…高杉?」 銀時は肩をあげて身構える。 「お前、高杉に恋慕してんのかよ」 軽く塞ぎこむ。 とんだお門違いだ。 コイツは高杉に執着してるだけなのだ。 「内輪揉めなら高杉んとこ行けよな。俺は関係ねーよ」 『サカタ…ギントキ…に、ありつけば…俺はオレは、あの人にアノ人に…なれ、なれ、なれ、ナレるゥ…成れるゥ…ゥゥゥゥゥゥゥ…ウウウウッ!』 「───ッア、!?」 銀時の全身にゆるく巻きついていた触手が、急に膨れた。 長さを変え、太さを変えながら目覚めたように動きだす。 「なっ、…ななッ…、?」 無機質なカラクリの紐にすぎなかったものが一本一本、意志を持ったように銀時の肌を探り、刺激し、ミミズのようにうねり始める。 「や、やめっ…、ちょッ!」 首に絡んでいた触手が顔や耳へ這い上がってくる。 膨れた先端には割れ目があって、それが銀時の肌を噛んで引っ張る。 痛みか、くすぐったさか、その両方がないまぜになって銀時の露出した肌を刺激する。 「痛ッ、てか、気持ちワルッ…、!」 視界を塞がれたまま自在に動く蛇とも百足ともつかないようなものが思いもかけない方向から肌を這う感触に銀時は顔色をなくす。 それはカラクリの触手というより、血が通い、熱を持ち、個々に神経が通った生き物のようだ。 「あ、…や、ヤダ…、なに? どうなってんの?」 自分では動けない銀時も表面を刺激されると肌が震えたり、その部分を熱くしたり細かな反応を返す。 それを感知した触手が鎌首をもたげ、歓喜したようにドクっと膨れて先端の割れ目から粘液質の汁を垂らす。 「え? ぁう、……うぅ…っ、!」 ヌチャ…としたなんともいえない、ぬるい感触が腕に、首に、胸元に粘りながらベットリと纏いつく。 「…これ、アレだよ…、最悪だよ? …情けなくて泣けるレベル」 もともと筋肉が摩滅したように銀時の全身は痛みを孕んでいた。 その肌を不特定数の吸い口が無頓着に啄(ついば)む刺激は、深部の肉を直接食むように鈍い痛みをもたらし、痛みと快楽ないまぜの熱となって身体の奥にくすぶる。 「───う、…ァ、…んあっ、…?」 その忌むべき状況に、ただ身体を投げ出しているしかなかった銀時の意識に予想しなかった感触が掠めた。 「あ? ちょ、なにッ…!?」 ない、と思ってた部分に触手が触れた。 外から隠れた衣服の中。 着物の下、上着の下、ズボンの中。 まったくのプライベートな素肌にソレが蠕いている。 外気に触れないところを、くねりながら奥へ進もうとしている。 そんなことは思ってもいなかったが。 考えれば至極当然のことだ。 触手が服の中へ潜りこんできたのだ。 「ひっ、ぅわァアアアッ…アッ、アーッ…、あッ、!」 事態を察して、すくみあがったまま叫ぶ。 「やめっ、ダッ…、」 触手は銀時の腰から臀丘へ、少しずつのたくっていく。 より体温の高い部分、湿った体内へと侵入できる場所へ着実に近づいていく。 「や、…やめろ、来んな…、」 払いのけようにも身体は意のままにならず、体内に力をこめて侵入を防ごうにも、ぎゅっと引き締まる感覚はなく。 太股や尻の張り切った曲線を撫でながら、先端が銀時の深部をもとめ、あらゆる方向へ頭を突っこみ、くぼみを辿っては潜りこもうとする。 「ハッ、ァッ…、ぁう…!」 うっそりと、触手がその部分に到達する。 鎌首をもたげ、先端を擦りつける。 抵抗を突破しようと、太い部分で圧迫したり、くねらせたりして穴をあやすように蠢く。 ぬるい粘液が吐き出され、それが潤滑油のように部分の摩擦をなくし、侵入をたやすくするためのように穴の中へ塗りこまれる。 身体中が緊張する。 先端が何度もその部分をつついて試している。 「ヤっ、…ヤダ、やめっ、───うあッ、……ぁぁあーッ!」 ズルッと。 抵抗を突破して触手の先端が体内へ押し入ってきた。 銀時は息を詰める。 触手がドクドクと膨れながら中へ中へと進んでくる。 「あっ、…あ、……あぅ、ぅっ…、」 それの他にも体内へ侵入しようとする触手が次々と入りこみ、競うように最奥をめざして狭い場所を占拠し、中でこすれて腸壁を一杯に拡張させていく。 甘い痛みが、そのとき胸の中ほどから走った。 上着の襟の隙間から肌を求めていた何本かが乳首に齧りつき、強く吸いつき、液を吐いて濡らしては丁寧に細かく噛んでいる。 「は、…はぁ、……ァ、…ぁん、…ぅ、」
姿は見えない。 触手の目隠しはピッタリ視界を覆っている。 『…血も、肉も、精液も……オレのモノにナる……俺のモノにスル…』 巻きついた触手が足を強引に開かせる。 「ひッ、! …ぁう、ぅッ…、」 銀時の股間、ゆるく勃ち上がった男性器めがけて幾筋もの触手が這い寄ってくる。 それらはそうすることを熟知していたようにペニスの根元に絡みつき、双珠をつついて捏ねあげ、血管が浮き上がるほどがんじがらめに巻きつく。 荒い呼吸に胸を上下させる銀時の熱くなった頬にカラクリじみた手が触れる。 それは笑っている。 上から声が降ってくる。 岡田似蔵の独特の言い回し。
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