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* 高銀話です(連載中)
土方は銀時の笑う顔を呆れたように見つめる。 「そんなに俺が疎ましいのか。抱かれんのが嫌なら搦め手の嫌がらせはいらねぇ、ハッキリそう言え」 「嫌じゃねーよ」 銀時が口を尖らす。 「フンギリが付かねぇだけだ」 「高杉に操を立ててんのか」 座った銀時を、ほぼ抱き締めたまま土方が尋ねる。 「お前の心は高杉のもんだ。身体もそうしてぇんだろ?」 「………なに言ってんの?」 銀時は平坦に土方の顔のあたりを見上げる。 「アイツはなんの関係もねーよ。考えてもみろ、オメーだって道でときどき遭うだけの野郎とケッコンしろっていわれたら、そう簡単に身体の関係が持てるかよ」 「なァ万事屋。ネタは割れてんだ。そろそろ白状しようや」 土方は穏やかに、むしろ力無く銀時の頬を親指でなぞる。 「お前は隈無(くなまく)宛ての電話が俺じゃなく高杉からのもんだって解ってたんだろ?お前は病室に高杉が来ることを知っていた。そしてそれを誰にも言わず待っていた。反論はいい、俺ァ確信してる」 身じろいで口を開こうとした銀時を押しとどめて強く抱く。 「高杉はお前の目を治そうとしてたんじゃねぇのか。だから一人で来た。お前を連れて逃げる厄介な逃走経路を確保していたフシは無ぇ。平賀源外の推測どおり高杉はお前の目を治す方法を知っている、お前もそれを承知の上で隈無に黙ってた」 「だっ、そんなん…!」 「根拠はなァ、お前が隈無に電話を代わるとき、そいつが隈無であるかどうか確認しながら代わってたことだよ。普段、隊士の名前なんかどうでもいいお前が、高杉が『隈無は居るか?』って聞いたから隈無以外の野郎だったらまずいと思って確かめたんだ。通話の記録は残ってるんでな、お前らの会話は聞かせてもらったよ。ずいぶん殊勝な声、出すじゃねぇか」 「んぐ、だからそりゃアレだ、お前だと思ったから、えええ演技だろうが!隊士の前じゃアツアツにしとけって…!」 「『岡田』に連れてかれた山荘で、オメーを弄りまわしてた『岡田』を退けたのも高杉だな?」 土方の声は凪いでいる。 「お前は『岡田』は役に立たなかったと言ってた。『岡田』を撃退してお前と思いを遂げたのが高杉だ。身体に残ってた痕跡は高杉のもんだ。違うか?」 「うぅ、だ…だからあんとき、クスリとかいろいろ使われたし、なんにも見えなくて記憶がモーローで、ってか、そのぅ…」 「隠す必要は無ぇよ。攘夷戦争行ったとき、お前らが恋仲だったってのは有名な話らしいな。お前の過去なんざ調べたくもねぇが攘夷浪士を調査してりゃどっからでも目耳に入ってくる事柄だ。その二人がよ、夜中に密会してるとなりゃ、真選組じゃなくても放っておけない事態だと思わねぇか?」 「……え?」 「毎夜、犬つれたお前が高杉と逢ってんのは警察内じゃちょっとした関心事だったんだよ」 「ぁ~…、」 「攘夷戦争の英雄と過激派攘夷集団の頭目が並び立てば、どんな厄介な騒乱が巻き起こって各地にくすぶる浪士どもを奮い立たせねぇとも限らねぇ」 「…んなバカなこたねーって」 「お前を押さえるべきだって動き出そうとする野郎が…新設の警察組織の局長だけどよ、近藤さんがいくらお前は無害な一般市民だっつってこれまでの真選組への助力を挙げても聞く耳もたねぇ。このままじゃオメーを見廻り組に持ってかれちまう、そう判断して俺たちゃお前の囲い込みに踏み切ったんだ」 「つまり…助けてくれたってワケ?」 銀時は自分を抱く土方の腕に手を置く。 「婚姻話も、辻斬り話も、キツネうどんにのった油揚げみたいなもんで、本当のおめーらの狙いは…」 「『あんな野郎にオメーを捕られてたまるか』」
銀時を胸に抱きしめたまま土方はクスっと笑った。 PR |
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