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* 高銀話です(連載中) 「…エ?」 銀時は自分の考えにギョッとした。 「え、マジで?」 土方は銀時が唇を解いても顔をしかめも口調を荒げもしなかった。 「どうした…なんかあんのか?」 銀時が、どうあっても捕まりそうにない相手が、腕の中で溺れたような瞳をして自分を見ている事実。もう離したくないと言わんばかりに銀時を抱く指に力が入る。それに身を揺らして反応する銀時に、ますます逃がすまいと力が篭もる。 「お前、俺のこと好きなの?」 銀時の問いかけは囁くように睦言のように土方の耳をくすぐる。 「アァ、…好きだ」 たまらず銀時の跳ねた前髪を甘噛みする。 「お前のことが気になって仕方ねぇのは、好きだからだろう?」 いつもなら否定の決めつけ口調で放たれる言葉も、銀時に舌足らずに問いかけられれば心地良い戯れになる。解っている答えをなぞるように問い詰められるのは恋人同士の愛の確認のようだ。 「べつに不愉快ってほどでもなかったけどよ…でも、キライじゃねぇってのは好きだっつうことにはならねーよな?」 腕の中の銀時に口元を緩めてみせる。 「俺とイケナイ遊びすんのはキモチイイぜ?」 銀時は観念したように感じ入ったような溜息をつく。 「お前…キスしようつったのは、こーゆーことだろ?」 眉を寄せて土方に尋ねる。 「俺ってオメーのこと好きなのかな?」 純粋な疑問を浮かべる銀時に土方は言葉を失う。そして直後、静かに笑う。これまで土方など眼中になかった銀時が、自分はコイツをどう思っているのかと検討するまでになったのだ。銀時の意識に食い込むことができた成果は大きい。 「嫌いなのか?」 好きだろ?と聞きたいのをこらえて反対で聞く。銀時の気まぐれは読めている。下手に押し付けると逃げていく。この問答を恙無く進められるのも今までの銀時との不毛な積み重ねがあってこそだ。 「んー…わからねー」 ゆっくりと提案の形をとって銀時に望む。 「わかるまでこうしていねぇか?」 銀時の鼻先に自分のそれを近づける。 「俺はお前にキモチイイことする。お前はただキモチヨくなってりゃいい。面倒なことが起こったらそれは俺の責任だ。ぜんぶ俺が負ってやらァ。だからオメーはなんにも考えず俺の腕ん中に居りゃァいい」 銀時は笑って土方の頬ずりを受ける。 「なんだか気分イイし。お前真剣だし。匂い好きだし。なにより…身体キモチぃんだよな」 土方の首の後ろに手をまわす。 「流されちまいてぇ。オメーとキモチイぃことしながら日がな一日のんびりしてみてぇ。なんも考えないで頭カラッポにして寝ていてぇ」 愛撫に酔った銀時の口が、ついでのように告げる。 「『辻斬り』?」 土方は一瞬だけ眉を歪める。 「お前に選択権がある。俺のもとにとどまるか、他へ行くか。そんときお前が決めるんだ」 銀時の意外そうな声。 「ウチ帰っていいの?そりゃ助かるけどよ、つーか辻斬り片付いたら取引も終わりだろうな?」 当然ながら帰る気満々らしい銀時に胸のあたりが重くなる。 「よほど事情が変わったら分からねぇけど」 たとえば、お前が俺に絆されるとか。 「辻斬り事件が思わぬ大物を釣り上げでもしたら延長要請するかもしれねぇ」 銀時は不服そうに口にする。 「お前はどう思ってるか知らねぇけどさ、お前らのコレ強制だしなんだかんだ言って。一般人を権力で言いなりにしてるって解ってるよな?俺がここに居んのはお前らに捕まったからで。お前を選んでケッコン?婚姻?させられるのも脅されたからで。お前に迫られてこんなことになってんのも祝言の偽装のためで。俺がなんの権限もない被害者で弁護士も拒否権も確保されずにこんな目に遭ってるんだってこと、誰かに知られたらお前らヤバくね?でもこれ俺には完璧に責任なくね?…つーか」 まわした手で土方を引き寄せながら、その指に触れる黒髪の手触りを楽しむ。 「俺の咎(とが)つったら、このままキモチヨくお前に流されちまいてぇって思ってることぐらいじゃね?」 つい、と銀時の顔が近づき土方の唇の中に柔らかな自分のそれを押しつけた。
続く PR |
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* 高銀第七話更新(ここ)1件 * livedoorブログ更新(余市日夏の銀魂たわごと)1件/リンクから飛べます * リンクにmikeさんの「センスオブワンダー」追加/高銀話連載中でいらっしゃいます |
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* 高銀話です(連載中) 第七話 気を引いても虚ろな世界(高銀)
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「そろそろ準備するぜ」
「え、もう?」 「これからが本番だ。テメェとウダウダやってる時間はねぇんだよ」 「わかったよ。俺もやる。こんなとこに一人で居らんねぇ」 銀時は高杉と並んで座った。 念入りに肌着をつけ、着物をきて、胴巻きをまきつける。 袴をしっかりはくと、脚半を膝から下へとぐるぐる巻き、その上から足元を毛皮の雪よけで覆う。 「怖ぇのか、銀時?」 「んなわけねェだろ」 「震えてるぜ」 「…お前と一緒なら大丈夫。なにがあっても離れねぇ」 「あぁ、離さねぇよ。安心しな」 横に座る銀時の頭を抱いて引き寄せる。 銀時は高杉の身体に上体を奪われながら、両手にそれぞれ、手の甲から肘まで覆う厚手の筒状の布をハメている。 「おめェは?準備できたの?」 銀時が自分を抱く背後の高杉に視線を投げて尋ねる。 高杉は満足気に眼を閉じて両腕を銀時の胸元へ回し、そっと抱き締める。 「俺りゃもうこれでいい。お前さえいれば、あとは何もいらねェ」 「そんなわけにいかねぇよ。ちゃんと準備しとけって」 銀時は髪を覆う被りものをかぶる。 「これで俺は完了だから」 「おぅ。万端だ。いつでもいいぜ、銀時」 「ん…」 銀時は高杉の眼差しを求めて顔を後ろへ向ける。 二人は抱き合い、口づけを交わし。 「じゃ、おやすみ」 「おやすみ。しっかり俺にくっついとけ」 ゴソゴソ二人は掛け布団を体の上に引きあげながら横になる。 暖房のない万事屋の座敷。 これから最低気温に向かって冷え込んでいく夜半。 熱を出すとすぐに寝込む体質。いま流行りの風邪は高熱にうなされると聞いて震え上がった銀時は、恐怖の寒い夜を高杉のふところで、その温もりと、全身の完全防備にくるまれながら、ぬくぬくと深い眠りについた。 高杉は愛おしい銀時を抱いていると身体がいくらでも熱くなるから、銀ちゃん以外、そんなに真剣に準備しなくていいのだ。 なんて考えてしまうほど寒いよ! |
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