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本日の更新
* 銀魂ネタバレ感想更新(一件)/パソコンは左、携帯は下のリンクから飛べます 銀魂ファンで、銀ちゃんファンで良かった! 鳥肌モンのジャンプ銀魂連載を見て震えたよ! 拍手ありがとうございます。 励みにさせていただいています。 えへえへ ![]() PR |
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* 高銀話です(連載中)
「披露宴は来週とお聞きしましたが、もう入籍されたんですか?」 「…まだしてねぇよ」 「婚約者の坂田さんはすでに真選組屯所で副長さんの身の回りのお世話をしているんですよね。周囲からは人も羨むアツアツぶりとお聞きしていますが?」 「まわりがそう言うなら、そうなんじゃねぇか」 「電撃入籍ということですが、実は交際は長く続いていたとか。お二人の出会いはどこですか?」 「……ホ、ホテルだな。池田屋ホテルで、ばったり」 土方が銀時の顔をチラチラ見ながら答える。 「そのときテロリストの検挙中で、万事…、坂田君は爆弾処理に奔走してくれました」 「なるほど、それをきっかけに交際が始まったわけですね。デートの誘いはどちらから?」 「デートっつうか、俺がコイツを探して、町ん中で偶然見つけて、……あとは花見とか、映画とか…」 「意外にも一般的な手順を踏んでますね。どうやら副長さんの方が坂田さんを気に入ってしまったみたいですが、告白はどんなタイミングで?」 「……んなもん、ねぇな。なんだかんだで顔合わせて、だいたいコイツは真選組の扱う事件現場に居合わせて突拍子も無ぇことやってることが多いから、俺は…ハラハラして見てたけどよ」 「告白は今日でぇす」 うっすら顔を赤らめている土方の横で銀時が言い放つ。 「生活の面倒は見る、入籍してくれ、一緒に祝言あげてくれって言われてOKしましたァ」 「それはプロポーズですよね? 即答ですか!」 花野アナが食いついてくる。 「もともと坂田さんも副長さんに好意があったんですね!? プロポーズされてどんなお気持ちでしたか?」 「マジかよ?って思いましたが、まあ仕方ねーかなって」 「『仕方ない』とは?」 「あ、なんかすごく愛されちゃってるみたいなんで。断ったらエライことになりそうなんで」 「それだけ本気の副長さんに応えたわけですね。最終的に結婚を決意した理由は? 副長さんのどんなところがお好きですか?」 「…ええと、どんなって、…性格? バカで物騒で刀振りまわしてるところとかね」 「それは副長さんにベタ惚れってことですね? さっそくお惚気ですか?」 「そうです。惚気けてます」 「噂どおり目も当てられない熱愛カップルですね」 土方がツッこむ。銀時はカメラに向かってダルそうにVサインしている。花野アナはクルッとテレビカメラに向き直る。 「今後、坂田さんは性転換して完全に女性になり、真選組屯所で土方副長と幸せな家庭を築かれるそうです。お二人のお子さんの誕生が楽しみですね。大江戸テレビ独占スクープ、江戸湾13号地から花野がお伝えしました」 んあ!?と血相を変える銀時をよそに、テレビクルーは放映を終え、録画を終了して撤収にかかる。 「ちょっと待て、俺がいつ女になるつったよ!?」 「いつって、そう聞いてますけど。真選組広報担当の方から」 花野アナはなんの疑問もなく答える。 「真選組ではそういうお薬があるそうなので、現実にはなかなか表に出てこない性転換の密着取材を大江戸テレビが独占取材させてもらうことになってるんですよ。結婚式の中継もしますから」 「なにそれ。俺は性転換なんかしねーから」 「ちょくちょくお邪魔しますんで楽しみにしててくださいよ?」 「オイちょっと待てェェェ!!」 銀時が叫ぶも、彼らは砂浜から引き上げていってしまう。呆然と見送る銀時を、土方は気の毒そうに見やる。話の出どころは真選組の広報。テレビ局とのタイアップも想定通り。高杉は、そして岡田似蔵は銀時のこの映像を見るだろう。 ───さあ、早く殺しにやって来い。俺を 土方は海のつながる埠頭を見る。そこにポツポツと戦艦が停泊している。表向きは商艦だが、中には攘夷派の持ち物もあるだろう。公安の捜査が及ばないよう巧みに手を回してカムフラージュしているテロリストの中に、あの男もいるはずだ。 「…念のため聞くけどよ」 銀時が青ざめた顔で笑いかける。 「近藤が、性別は俺の意志を尊重するっつってたよな?」 「言ったけど。お前は俺の求めを拒めねぇ、禁じ手は無しってことになった」 「ちょ、待て! おまえ本気で俺を女にする気かよ!?」 「…それもいいかもしれねぇな」 笑って追い詰める。余裕のない銀時は悪趣味と言われようが愛おしい。 「そのままのオメェもいいが、女になったらなったで都合いいこともあるんじゃねぇか」 「……オメェさ、なんで俺が海に降りようつったか分かってる?」 銀時がやる気のない死んだ魚のような目を土方を向ける。 「ここ二人っきりだし。俺のがオメーより速いし。逃げて行方をくらますことだってできるんだぜ?」 「そうしたら、向こう岸からこっちを見てるテロリストどもがオメェを拾いに来るだろうな」 土方は静かに笑う。 「逃げるなら海は基本だからな。なにか企んでるのは知ってた。けど、オメェは行かねぇよ。行くときゃわざわざ俺に宣言してかねぇだろうからな」 「…わからねーぞ、そんなの。逃げないと見せかけて逃げるかもしれねーし。俺、裏かくの得意だから。心理戦とかしつこくやる方だからね」 「逃げる逃げる言ってるうちゃ逃げねぇよ。大抵のヤツがそうだ」 「じゃ逃げない」 「助かる」 土方は銀時に手を差し出す。 「もうここはいいだろ? メガネ探しに行こうや。オメェは今は逃げるより、俺たち真選組の手の内で動いていた方が有利なはずだ。メガネのことにしても、それ以外にしても」 行動をともにしようと、差し出された土方の手は銀時が誘われるのを待っている。 「オメェが逃げるときは、俺が逃がしてやらァ」 「………言っとくけど」 銀時は土方の方へ足を踏み出す。 「俺はテメーに借りなんか作らねーよ。……たぶん」
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* 高銀話です(連載中)
江戸湾13号地は、庶民の憩いの海岸エリア。 頑張れば、かぶき町から歩いていけるデートスポットだ。 ここは寺門通親衛隊の集会場所で、新八もよく来ている。 「…いねーな」 特徴的な大江戸テレビ局の建物を背景に、海辺からすぐの陸地側には新開発された街並みが広がっている。道沿いに車を停めると銀時は土方と連れ立って道路から浜辺を見渡した。 幼児を連れた家族や散策のお年寄りがポツポツいる他は、ランニングの若者が砂を蹴り上げて走ってるだけだ。銀時は目に映る限り、すみから隅まで砂浜を探す。いつもはバカやってる知り合いの一人くらい居るのだが、こんな日に限って声をかけて挨拶できそうな気晴らしの相手も見つからない。 「…メガネはオメーに恋慕してんだよな」 土方が、眼下の海辺を見たまま尋ねる。 「婚儀を認めねぇつもりらしいが、…正直、なにかしでかすと思うか?」 「見かけによらず行動派なんだよ、アイツ」 銀時は苦笑とも自慢ともつかない笑みを口元に浮かべる。 「考えがあるつって走ってったんだ。やるときゃやるだろーな。けど、アイツに他人を傷つけるような真似はできねェ。そこは信用していいぜ」 「…わかんねぇモンだな」 「あ? なにが」 「まさかメガネが長いことオメェの元で想いを募らせていたとはな」 「俺だって初めて聞いたっつーの」 銀時が心外とでもいうように鼻を鳴らす。 「ぱっつぁんのことは嫌いじゃねーよ。けどま、弟みたいなもんだし。考えたことねーし。今も考えらんねーな」 だよな、と土方は思う。銀時に絡みつく影はいくつか感知してきたが、新八が銀時を恋い慕っているとはカケラも連想しなかった。銀時側にもそういう秋波はなかったように思う。じゃあ俺は? 銀時は少しは俺のことを性愛の相手に連想したことがあるんだろうか。 「…次、探すか」 土方は浮かんだ疑問を飲みこんで銀時を促す。新八を心配する銀時に余計な質問はNGだ。 「メガネがどんな手に出るか解れば場所も割りやすいんだがな」 「…あのさぁ」 踵を返そうとする土方。その横で銀時は髪も、着物の袖も、裾も、風に浮かされて、美しくなびかせていた。 「ちょっと寄ってかない? 海」 「構わねぇが。なんか思い当たることでもあったのか?」 「そうじゃねーよ。今、二人きりだろ。…デートくれぇしようや」 銀時は自然体で誘う。 「俺たち籍入れるんだぜ。祝言あげる前に恋人みてーなことしとかねーと、あとで後悔してもアレだし?」 「…願ってもねぇな」 土方は予想外の申し出に素直に応じた。 銀時はフイと前を歩き、砂浜への階段を降りていく。 照れたように見えるが、銀時は照れるようなタマではない。コイツ、なにか企んでる。土方は感づいたが気づかないフリをして銀時のあとに続く。 「お。でけぇ貝殻」 細かい砂を踏んでいくと足元には陸地では見ない珍しいものが散らばっている。それを覗きこみながら銀時は指を差して土方に見ろと言わんばかりだ。打ち上げられた海の生き物や、異国からの漂流物は、はっきり言ってただの残骸なのだが、砂浜の上に銀時と一緒に見つけながら歩くと、ただのゴミを見る作業が楽しい発見の歓びに変わるから不思議だ。 「ガラスみっけ」 どんな意図があろうと銀時とのデートを棒に振る手はないだろう。波に揉まれて角がとれた丸い物体を、銀時は拾って手の中に転がしている。見ていると銀時は土方の興味を確認し、ハイ、とそれを土方に手渡した。 「…ありがとよ」 そのとき少し銀時が笑った気がして、土方はやけに心が燥(はしゃ)ぐ。どうってことないガラスのカケラ。不透明な濃い緑のそれを掌の中に囲う。 銀時が得意そうにに注釈する。 「ソレ、売れるんだぜ。金に困ったら俺たちゃここに来て集めんだ」 「こんな…ガラクタが売れんのか?」 「アクセサリーとか、壁に埋め込んで装飾にとか、需要あんだよ」 物知らずに呆れたように言ってから、海を振り返る。 「もうここへ来て拾うこともなくなんのかな…」 それは万事屋三人の思い出なのだろう。感傷に浸るような銀時の様子に思わず土方は否定する。 「別に終わりじゃねぇよ。また来りゃいいだろが、メガネとチャイナ連れて」 「…え?」 「ガキとの外出くれぇ、止めねぇよ。いくらでもここへ来て拾やいい」 「……なに?オメーは俺に海でガキと一緒にガラクタ拾えってか?小遣いくんねーの?」 「エ?」 「拾いたくないんですけど、別に」 「………」 「………」 銀時は軽く怒りを浮かべ、いっそ蔑んだ目をしている。 土方は気遣いが裏目に出てバツが悪いことこの上ない。刺さる銀時の視線が痛くて握った拳を震わせる。 「…ま、」 「『ま』?」 「紛らわしい真似すんなァァァ!テメェが寂しそうにしてっから情けをかけてやりゃァ…!」 「アレ?寂しそうに見えた?」 銀時は、へらっと笑う。 「それは土方君の罪悪感だよ。人は負い目があるとき、周りの人間の行動に意味を付け加えます」 「うるっせーッ!」 銀時の胸ぐらを掴みあげようと腕を伸ばす。ひらりと躱して銀時は2、3歩うしろへ飛び退く。 「図星ィ? 大丈夫だって、銀さんどんな環境にも慣れんの早いから。それより腹さぐりあって、いつまでも暗い顔つきあわせて罪悪感おしつけられてんのキツいから。だからさァ」 からかうように、本気ともとれる言葉を投げて銀時は身をひるがえす。 「追いかけて捕まえてみろや。捕まったら本気でセックスしてやっから」 はればれと宣言する。 「けど捕まんなかったら初夜はナシな? 欲しいモンは自分で確保しろよな」 「ぬかしやがって。上等じゃねーか」 土方はムキになって怒鳴る。 「言ったかんな、忘れんなよテメェ!」 「オメー警察官だろ、一応? アハハハハ、捕まえてごらんなさぁい!」 ひらひら袖をひるがえして逃げていく。すぐに追いついてその袖を掴むことはたやすく思えた。しかし銀時はすんでのところで土方の手を擦り抜ける。 「待て、テメェ」 銀時が加減して走っているのだと、本気を出せばすぐに差が開いて銀時がつまらないのだと、ものの数秒で分かったが、悔しさより銀時の油断を見すまして捕まえる方が先だ。 「こちとら伊達に砂浜でメシのタネ拾ってるわけじゃねーんだよ。アスファルトが恋しい? それとも車の座席ィ?」 土方の手を躱しながら銀時も笑顔で息を荒らげていく。その顔が自分に向けられている限り、翻弄されてることなど甘い甘いもどかしさでしかない。 「なめんなコラァ!」 土方がジャンプ一番、銀時の着流しに飛びかかろうと砂を踏み切ったとき。
マイクを持ったテレビでおなじみの女性レポーターが、カメラマンや音声、撮影スタッフを引き連れて海岸道路の方から砂浜めがけて走ってきた。 「……え?」 ぎくりと二人はそちらを見る。あきらかに撮影が始まっている。カメラの横には大江戸テレビのマーク。そうか、この海岸は大江戸テレビから丸見えだ。というより、いつから自分たちは撮影されていたんだ? 「いま、副長さんの熱愛が巷で話題沸騰しています! 来週予定されています結婚式にむけて、お二人の抱負をお聞かせください!」 ものすごい勢いで喋り迫ってくる花野アナ。 全国のお茶の間へ通じる穴のような黒いレンズを凝視して、ひくりと二人は頬を引きつらせた。
続く |
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本日の更新 * 高銀第19話更新(ここ)1件
「んー、…海。江戸湾13号地の砂浜」 新八の行き先を聞かれて銀時はダルそうに答える。 「お通の楽屋。コンビニの溜まり場。電気街。あとは恒道館とかぶき町だな」 「広い範囲を回ることになりそうだな。…乗れや」 土方は一台のパトカーの助手席を開けて銀時に促す。銀時は土方の顔を見る。 「なに。これに乗るの?」 「嫌か」 「目立ちすぎんだろーが」 「人探しにゃ便利だぜ。追跡にもな」 「オメーが運転すんの?」 「せっかくのドライブだ。運転手は要らねぇだろ。二人っきりでデートと洒落こもうや」 「…マジでか?」 銀時のやる気のない瞳が、うんざりしてパトカーを眺める。土方はドアを開けたまま銀時の腕を掴み、銀時を見つめる表情は甘やかなまま顔を近づけて、銀時の耳元に囁く。 「ウソでも笑いやがれ。隊士どもの前だ。ちったァ喜んで見せねぇか」 「……う、ぁ…あっ、デ、デートだよね、コレ!」 銀時の声が不自然に裏返る。腕を掴まれたまま、なんとか身を引いて、及び腰になりながら土方に向き直る。 「ウソ、マジで? 運転してくれんの副長さんが? そんな車に俺、乗っちゃっていいわけ?」 「オメェに運転なんかさせられねぇ。これからは俺がどこにでも連れてってやらァ」 「う、嬉しぃ…嬉しいよ、ウン。嬉しいってば!」 銀時は腕を突っ張る。土方の手を振りほどこうとして、手首を本格的に土方に掴みなおされてしまい、動きを止める。土方の咎めるような瞳を見て思い出す。そういえば熱愛カップルを演じなければならない。 「でもさぁ、…ちょっと落ち着かなくね? デートってより連行されてるみてーじゃね? 俺としちゃ、こんな無粋なモンより普通の車に乗りてーなぁ、なんて…、」 「あいにくウチにゃこんな無粋なツートンしかねぇんだよ。乗りな」 「えぇえー、初デートがパトカーとか何ソレ、トラウマ植えつける気ぃ!」 銀時は不服そうに土方に瞳を向ける。 「だったらいっそ歩きで行こうぜ。新八だって公共交通機関しか使ってねーんだからよ」 「…なんだ。そんなに車ん中でイチャイチャしたかったのか?」 薄ら笑いを浮かべながら土方が銀時の身体を引き寄せる。中途半端な抵抗しかできずにタタラを踏んでいる銀時を自分の胸板に密着するほど抱き寄せ、銀時の背中から尻にかけて引き締まる手触りのいい腰に両腕をまわして銀時を腕の中に収める。 「公用車だろうが気兼ねするこたァねぇよ。俺たちの血も汗も泥も染み込んでる車だ。キレイな使い方はしちゃいねぇ」 「あ、ぁ、…ッ──そ、そうなの?」 「屯所より景色のいい場所で初手合わせといくか?」 「んぁ!? なに言ってんの、おまえ……じゃねーよ、そーだな、そんじゃ竹刀でも持ってく? お稽古好きだねェ土方くん、手合わせはお初じゃねーけど、コテンパンにノシてあげるぅ~」 「竹刀はいらねぇだろ。自前の道具で事足りらァ」 こめかみに怒りを溜めたイラッとした笑いを銀時に向けてくる。 「それより他の道具準備しねーと。人気のねぇところじゃ店もねぇし」 「やだぁ、土方くんのエッチ~…ふぐっ、」 人目を気にしながら、のらりくらり返答していた銀時は、至近からいきなり唇を塞がれた。唇を柔らかく押しつぶされる感触。驚いて相手を見れば目の前に土方の切れ長の瞳があって、睨みつけてくる。 「あ、…ぁん、…ぅく、…ぁむ、…、ん…、」 触れるだけのキスだと思ったら、しっかり舌を差し込まれて、舌を吸われた。腰を引き寄せられていても顔を背けるのは簡単だ。しかしまわりから視線が来ている。真選組屯所の正面門の内側、外の道に面した半分公共の広い場所。隊士たちの注目は逸れようもなく自分たち二人に突き刺さってくる。 「はぐ、…んぐ、…っ、ぁ、…らめらって、」 銀時のこめかみにも怒りが浮かぶ。土方の首に手を這わすフリをして、グググっと後ろ髪をつかみ、キスを引き剥がす方向で徐々に指に力をこめて引っ張る。銀時の瞳も土方のそれを睨み返し、離せや、と眼力に意志をこめる。 「恥ずかしいのか?見かけによらずウブだな」 ニヤッと瞳が笑い、土方は唇をつけたままそんなことを周りに聞こえるように言う。 「てっ、てっ、てっ、てめっ! …んあぅ、…うっ、んむっ…──んっ…、んぅーっ…」 銀時の視線が周りを窺って、あせあせと泳ぐ。熱愛の演技をするのは承知したが、土方は人目がある限り自分たちは恋仲であるとアピールするつもりだ。そして自分はそれを人前では拒めない流れではないか。他人がいることは、銀時にとって行為を続けさせられるための枷になる。 「ちょ、どこ触って、ぁう、…んぁあっ、…ぁく、…ん…、」 土方と二人きりで部屋にいたときは拒めたものが、拒めない。副長が人目もはばからず白昼堂々、想い人を腕の中に閉じこめ、長いキスを愉しんでいるのも、その恋人の身体を服の上から探り回して、びくっと身を強ばらせる部分を指先で弄りまわしているのも、隊士たちには格好の見世物でしかなく、当然ながら咎める者も、中断するよう諌める者もいない。 「あっ、ァッ、──ッ、いっ、…いいかげん、やめてください、…っく、…んぁ、…ぉ、願いしますぅぅう…!」 土方のキスが、服の上から乳首に吸いつこうと降りてきたところで、銀時は土方の額をグググっと掌底で押し剥がした。それでも土方は目的の箇所を正確に見つけて優しく唇に挟みこむ。 「~~~っ、!!!」 銀時は声を噛み殺し、思いがけず感じてしまった自分の身体になかんずく失望しながら、両手を土方の肩に突っ張って、腰を容赦なく引いて後ずさる。 「…仕方ねぇな」 人目に配慮して、なるべく穏便に土方を押しのけたつもりだった。土方が続けようと思えば突破できるくらいの抵抗、しかし土方は銀時の吐息に潜む怒りを感じたらしい。しぶしぶと顔をしかめて、悔し紛れのように銀時の耳たぶにキスを押しつけ、一回ギュッと噛んでから上体を離す。 「続きは海に着いてからな。…あと、これ持っとけ」 苦笑の中に甘い視線を混ぜて銀時を覗きこむ。その一連の動作の中で土方はポケットから取り出したものを銀時に握らせた。 「…携帯電話?」 見ればそれは黒塗りの、使いこまれた携帯電話。一瞬で銀時は、ああ、と思う。自分の居所の確認だ。彼らは銀時の首に鈴をつけるつもりなのだ。 「屯所の連絡用だ。どのキーでも長押しすりゃ屯所に繋がる。サイドキーでもな。つながったらバイブで震えるからよ、いちいち取り出さなくても使えるって寸法だ」 「へぇ。…間違えて押しちゃったらどうすんの?」 「そのつど確認が入る。誤報はよくあることだ。気にすんな」 命の危険に晒される彼らは、こんなものまで装備しているらしい。銀時は手の中の物体を眺め、そのまま懐の合わせへ突っ込んだ。 「副長、いってらっしゃい」 なにげない、しかし下世話な笑いを向けられる。二人の親密度や行為の具合を探れないか、自分も一枚噛めないか、くらいの勢いで隊士たちの視線が食らいついてくる。 「てめぇらキッチリ仕事しろ。指示は出しといたかんな」 土方は言い捨てて銀時を車に押し込め、運転席に座る。なかなか副長職というのは忙しいらしく、急に銀時と出かけることになったため、部屋を出る前に、こまごまとした指示の変更を部下たちに残していた。
銀時は土方と反対側の窓に肘をついて窓の外を見る。 『よく、戦況にらんじゃ、噛んで含めるように現場に指示してたっけ』 滅多に声を荒げることはなかった。いつも余裕の笑みを浮かべて、自分の身を顧みない方法ばかり取っていた。余裕がなくなったのは自分と二人きりのとき。すべての感情をぶつけるように銀時の生身には容赦がなく、銀時の体内では暴君を極めていた。 ───高杉…… 考えると、他のことが耳に入らなくなって、高杉のことばかり考えてしまう。高杉とは、単なる旧友の間柄。戦況の悪化とともに自分たちの接触は薄れ、戦の終結とともに情交する関係は自然に消滅した。そのあとは、交わした約束があるわけでも、言外の絆の証があるわけでもない。昔寝てた相手、それだけだ。会えば口くらいは利く。迷惑をかけられれば文句を言う。その程度。 ただ、このごろ夜中に出会うようになった。犬の散歩に途中から加わってしばらく歩く。なにということもなく喋る。大通りに出る前にアイツは身を翻して去っていく。 ───べつに誰かと籍入れたって、アイツには関係ねーんだよな 銀時は空を見たまま目を眇める。 車は屯所を離れ、首都高速に入って江戸湾へ向かった。
続く |
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本日の更新 |
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風邪ひきました。
ものすごく嬉しいメールをいただいたのに、お返事する脳みそがなく、気になっているのにお返事できません、すいません ![]() 気温の変化についていけず、ひたすら眠い。 ジャンプも気になるのに読めてない。 なんとなく心が穏やかなので、まだ究極的局面には差し掛かってないんじゃないかと勝手に予想。 高杉出た、とかだとジャンプ見てなくてもなんとなく世間がざわめくから分かる。(えええ!?) とにかく世俗から離れて風邪ひいてます。 そういうわけなので、いただいたメールのお返事は後日させてください。 ここ見てらっしゃるか分からないのですが…すみません ![]() |
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本日の更新 書け!って言われれば、キャラ会話とかは書けそうな気がする。 だって何日ぶりだろう? もうラベンダーも咲き誇ってるよ。 いや、いつでもラベンダーは咲いてるけど! ブログ小説の最終が2月25日ですよ! いま6月だから、まるまる3ヶ月、自分のサイトを丸投げしてたんだよ、ガーン…! アニメは四天王編ですね。 四天王編の見どころは、かぶき町住民の共闘と、ラストの紅花畑ですよね。あと、イイ男満載の過去回想とか。 お岩さん(仙望境の温泉の女将さん)が、お登勢さんと撮り合ったのが辰五郎さん。 …いや、もう、公式すぎて。夫婦だし
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