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【2020/04/07 22:52 】 |
第52話 ご祝儀は社会人のたしなみ 1





「気持ちよく晴れました!皆さま御覧いただけるでしょうか?抜けるような青空ですっ!」

ばらばらばら…とヘリコプターのプロペラ音をバックに花野アナが叫ぶ。

「今日は、真選組副長さんと婚約者の方の結婚式が執り行われます。いま私たちは真選組屯所の上空に来ていますっ!」

中継映像が空から真選組の拠点を映し出す。

「この結婚式では婚約者の方の性転換が話題になっているんですが、私たちはその現場に空からお邪魔しようと思いますっ! ……あっ、なにか屯所内で動きがあったようです!」

真選組の敷地内で黒い隊服の男たちが慌ただしい動きを見せている。

一斉に動き出した大勢の隊士に花野アナが声を弾ませる。

「練習のようですね。挙式のとき副長さんに内緒の演出でもあるんでしょうか!?隊士の方々によるサプライズな趣向が用意されてる模様です!」

映像が隊士たちを大写しにする。

なかには黒い隊服に混じって白い隊服を着た男たちが見慣れぬ機器を取り出して作業している。

花野アナは感心したように彼らをリポートする。

「真選組の方たちも、結婚式には白い隊服があるんですねっ!初めて知りました。着てる人と着てない人がいるようですが、式に参列する人だけが白隊服を着用なんでしょうか。デザインは一緒のようですが、白だと式典にピッタリな気品がありますね……えっ?なに、なんですかあれっ」

花野アナたち撮影の一行は、自分たちに向けられた砲口に気がつく。

グリグリ眼鏡の隊士が担いだバズーカが、撮影隊のヘリコプターに照準を合わせている。

「なんのお茶目でしょう、こちらを狙って…ウソですよね、……きゃあああああっ!!」

ドンッ!という発射音とともに空気が振動する。

すぐ近くでの炸裂と爆風。

ヘリコプターは衝撃に煽られ急激に傾く。

「う、うわああああああッ!!」

 

「チッ、外しやがったか」

グリグリ眼鏡の隊士、神山から沖田がバズーカを引ったくる。

「よく見ときなァ。バズーカってのはこうやって撃つんでィ」

銃器を肩に乗せ、スコープを覗いて標的を捕らえる沖田のさまは獲物を外さない不動の構え。

神山の砲撃を免れたヘリコプターも一瞬後には沖田のバズーカが命中し撃ち落とされるだろう。

「やめて、やめてぇ!」

「撃たないでくれ、頼む!」

大江戸テレビの中継ヘリがへろへろと体勢を立て直そうと必死で飛んでいる横を、沖田のバズーカの砲弾が通過する。

「墜ちる、だめだぁ!」

「当たったんですか、墜ちるんですかこれ!?」

「許可取ったんだぞ、なんで…!」

スタッフが頭を押さえ身を竦ませる中、ヘリの操縦士だけは懸命に操縦桿を操っている。

そのままヘリコプターは浮力を取り戻し、屯所から逃げるように高度をあげていく。

「まだ飛んでるんですか?」

「当たってない!?」

スタッフと花野アナが遠ざかる屯所に目を凝らしたとき。

離れた場所で、どーん!とぶつかったような音がして、近くの空を飛んでいた別のヘリコプターが撃ち落とされた。

「今日は招かれざる客、万来ですねィ」

沖田はまた次の方角へバズーカを構える。

「すいやせんが、空から来んのはやめてくだせェ。間違って撃ち落としちゃうんで」

花野アナのインカムに沖田からの音声が入る。

沖田もインカムをしている。

彼らは隊服に身を包み、警護に当たり、どう見ても婚礼に臨む支度ではない。

ふと付近の空を見渡すと、報道関係では見かけないヘリコプターが一定間隔おきにあちらにもこちらにもプロペラ音を轟かせて屯所上空を旋回している。

時折、その乗員が銃器を構え、屯所や隊士を銃撃している。

柄の悪そうな浪人たちや、統率の取れた若者集団、タスキを掛けた年かさの者たちなど、年齢も格好もヘリコプターごとにさまざまだ。

彼らはそれぞれ別口に屯所を襲撃しているようだった。

「なんで武力闘争になってるの!?」

花野アナは顰蹙する。

「今日は晴れの結婚式ですよ、今日ぐらい攘夷テロはやめてほしいですよねっ!」

大江戸テレビからそのとき彼らに指示が入る。

上空からの取材は中止し、屯所の正面から中継に入るように、とのことだった。

「そんな…!?いまからヘリポートに戻ってたら時間がない!」

花野アナは屯所の方向を振り返る。

「性転換薬を使うドキュメントを生中継する予定なんですよ、なんとかならないの!?」

しかし対空砲で迎撃しまくる屯所に戻るわけにもいかず、付近にヘリコプターが降りられる場所もなく、彼らは一旦大江戸テレビ局へ引き返すことにする。

「急いで、間に合わない! どこか降りられそうなところはありませんかっ?!」

花野アナは未練がましく地上を見つめる。

降りたところで車がなければ屯所へ行けないことは解っている。

走ってでも中継を間に合わせたいところだが、ヘリはどんどん遠ざかって走れる距離ではなくなっていく。

時計を見ながら我慢している花野アナはそのときふと街に人が見当たらないことに気がついた。

「…あら?」

屯所一帯、かなり広い範囲にわたってその周辺には歩いている者も車で移動している者もいなかった。

活動している人の姿が見られない。

しかもその区域への道路を真選組が封鎖しているさまが一部だけだが上空から確認できた。

「なんでだろう、なにかあるのかな? まさか結婚式に厳戒態勢ってわけでもないですよね?」

花野アナは首をかしげる。

自分たちが屯所へ向かう車まで真選組の規制を受けて通行許可が下りないとは、まさかこのときは思ってもいなかった。

 

 

続く

 

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【2012/11/23 14:36 】 | 高銀小説・1話~完結・通し読み | 有り難いご意見(0)
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