*  高銀話です(連載中)
	
	第70話 気を引いても虚ろな世界(高銀)
	
	※『◯◯化あり閲覧注意』などの説明書きを必要とする方はお読みにならないで下さい。読まれる方は自己責任でお願いします。
	 
	
	「…ぁッ、ぁあ、んッ!」
	ゆるみきろうとした銀時の身体が跳ねる。
	「ぃ、ぃや、たかすぎっ、もっ…あぁッ…!」
	「イヤってこたァねーだろ」
	耳元で乱れた吐息が告げる。
	「めっぽう締めつけてくるぜ?」
	「や、そこ、ぁ、…あんんんっ!」
	銀時は板敷を引っ掻いて苦しげにもがく。
	尻は高杉の剛直をきゅうきゅう締めあげながら形よく揺れている。
	「もうイッた、イッたから…! ゃ、ぁあッ、イク、イきすぎちまうっ…、」
	「まだイけるだろ?」
	激しく突かれる過剰な挿入に震えながら喘ぐ銀時の下腹部へ手を添える。
	射精直後の萎えきらないペニスを捕らえ、カリ首に指をまわして亀頭責めにする。
	「反応、いいなァ…銀時ィ?」
	「いッ…、いやッ、いやぁぁああッ!」
	腸壁を剛直で満たされ押し広げられながら、イッたばかりの敏感な亀頭にくりかえし与えられる緩い回転刺激に、銀時の下半身はあふれるような快楽で蕩けてなくなりそうになる。
	ひとつを感じとる間に呼吸もできないほど押し寄せる快楽に銀時は必死に喘ぎ、その間も腹の奥へ送りこまれる熱いうねりに犯され、一瞬たりと止まらぬ裏筋への緩やかな刺激と不意に尿道口に挿しこまれる指腹の強烈さに悲鳴をあげ、その一切を処理できずに脳髄は地獄のような快楽に恐怖する。
	「ぁあッ、か、んじすぎちまっ、…ゃめっ、もぉ、ぁ、たかっ…!」
	「ぅ、…クッ、ぎんとき…」
	腰をくねらせてヒクつく相手に息をつかせる気もなく突いては奥を掻き回し、身体のすみずみから奥深くまで肌を合わせて愛し尽くしながら高杉は徐々に昇りつめ、
	「ぎんとき、オメー…俺が好きか?」
	「はっ…、んぅ…、すき、」
	銀時は瀕死の傷を負ったときでもあげないような必死な吐息で答える。
	「ぁふ、あいしてる…にっ、決まってんだろぉ…ッ!」
	「……アァ、そうだな」
	俯いた高杉の口の端が仄かに笑む。
	「俺もだぜ銀時、オメーを愛してる…この命、くだけてもかまわねぇ…!」
	「ぁっ…ふぁ、たっ…かすぎ…ぃ…!」
	「ぎんとき、ぎんときッ…お前が好きだ、愛してるぜ」
	「ぁ…出して…中に、たかすぎの、欲しっ、ぁッ…はぁあ…!」
	耳に告げられる言葉を聞けば獰猛な衝動が駆け抜ける。
	相手の胸腹を離れることを許さない力で引き寄せ、我が身を密着させて擦りつけ銀時の中を奥まで強く擦りあげる。
	緩く擡げた銀時のペニスを急かすように煽り立てながら愛しい相手を腰ごと引き寄せると、その深いところへ熱い体液を一気に迸らせる。
	「ぁんッ、…はんッ…んっ…、んっ………!」
	精液が銀時の体内に注がれる。
	腸襞に滲みていく感触に、ひさしぶりの強烈な刺激に身も世もなく悶える。
	爪先まで伸びた下肢は小刻みに震え。
	射精もなく達した銀時は感極まったまま廊下の板敷に崩れ伏せる。
	上下する呼吸、投げ出された手足。
	美しい獲物が己の与えた雄の精に屈服して無防備を晒している、その悦楽。
	「銀時…、」
	銀髪に軽く噛りつきながら数度、腰を振る。
	腸襞は激しく絡みついてくるものの、くったりとして銀時は動かない。
	横向きに板に押し当てている顔を見れば、その瞳から涙が伝っている。
	「大丈夫か?」
	「ぁ…ぁん…っ…」
	銀時は肌近くに視線を感じるのか、それを嫌うように手の甲で顔を覆い、目を擦る。
	カチャ、と音がして何かが板に落ちる。
	「……………あれ?」
	銀時は、はたと動きを止める。
	「……見えてる」
	呆然とあたりを見回す。
	片眼を押さえたまま身を起こし、薄暗い廊下に確かめるように視線を凝らす。
	「み、見えてるよ、痛くねーし刺さらねーし、な、治ってる…!?」
	「よかったなァ」
	「ゃっ…、くぅっ!」
	ズルっと銀時の中から腰を引き抜く。
	最後のダメ押しのような刺激に銀時は硬直する。
	その様子が微笑ましくて高杉は身を寄せ、銀時の背や腹を掻き撫でると銀時は弱い唸りをあげて威嚇する。
	「ちょ、やめてくんない!?」
	「なにをだ」
	「ひとの尻、揉んでんじゃねーよ!」
	「ああ、あんまりにも好かったもんだからな」
	「刺激するなっての!」
	嫌がってみせるが、高杉を振り切らない小さな素振りでそれをする銀時に愛おしさが募る。
	「可愛いなァ、オメーはよォ」
	「いま忙しいから!」
	高杉の腕にゆるく包まれたまま、銀時はもう片眼をゴシゴシ擦る。
	ほどなくコンタクトレンズが目から零れる。
	目に装着していたときは、そんなものを着けていると分からないほど透明なレンズだったが、外れて板敷に転がったそれは黒く武骨で、一目で在り処がわかるほど大きい。
	「み、見える!平気だ、こっちも!」
	銀時は両眼を交互に押さえてパチパチ瞬いている。
	「やたっ、完璧だよコレ、ジジイ信じてよかったよ、すげーよ、すげくね!?」
	「源外のじいさんのカラクリか」
	レンズを拾い上げる。
	「紅桜のデータを解析しちまうたァ、やっぱり只者じゃねーな」
	「エッ…?」
	「じいさんに頼まれたのさ。お前の眼を解毒してやりてェから毒液の組成が解るものを借り受けたいってな」
	「あ、そうだよな。これってネオ紅桜の毒液だもんな」
	「あいにく血清はヅラとの騒ぎで無くしちまったが、素のデータから探す気ならどうしてくれても構わねェって心当たりをじいさんに渡したのよ」
	「ありがとう、じーさん」
	銀時は拳を握る。
	「おかげで眼が痛くねーし!食いもんの味にビックリしねーで済むし!」
	「オイ銀時」
	「ぶつからねーで歩けるし走れるし、つまづかねーしィ!」
	「いい加減こっち向けや」
	「や、…ちょ、」
	「その瞳を見せろ。深く澄んだオメーの魂の色をよォ…?」
	「ん、ゃだ、恥ずかしーだろ、」
	銀時はムキになって眼を逸らす。
	高杉が頬を掴み、自分の方へ向けて覗きこむと、銀時のふたつの冴えた瞳がハタリと高杉を見上げる。
	視線を捉える。
	からみあったそれは相手を見通すように強く奥底で繋がりあう。
	「綺麗な眼だ」
	「…ん、まァね」
	「吸いついて食っちまいてーなァ」
	「ダメだから、食えないから」
	銀時は警戒体勢を取る。
	「それよかお前の眼、やらしすぎ。おまえ俺のどこ見てんの?」
	高杉の顔に手を伸ばす。
	「おまえの眼にオレって、どんな風に見えてんの…?」
	「したたるような色香を最高の身体から垂れ流してる粋で気怠い肉感的美人」
	「………ああ、そう」
	即答されて言葉がない。
	「高杉って、目ぇ悪いんじゃね?」
	「それほどでもねェさ」
	高杉は笑ってゆるゆる目蓋を包むように撫でる。
	「治って良かったじゃねーか。じいさんには、いくら礼を言っても足りねェな」
	「うん、今度言うわ。会えたらだけど」
	「俺がじいさんから聞いてたのはコンタクトを装着して2時間以上経過すれば、あとは血圧と心拍をあげてオメーをありえねーほど快楽漬けにすりゃ自然に見えるようになるって話だったがな」
	「…んぇ?」
	銀時は止まる。
	「か、かいらく漬け? そ、それって…!」
	「快楽物質にエンドルフィンてのがある。そいつァ強烈な刺激を食らうとテメェの脳から放出される。強力な麻薬みてェなもんだが、じいさんによるとそいつが紅桜の失明毒を中和するなによりの解毒剤なんだとよ」
	「…っ、てことは、あの…、」
	「ありえねーほど気持ちよくイッたんなら、なによりだぜ」
	「ぎゃ、ぅ、んな、なに言ってんの、なに言ってんの高杉ぃぃぃぃ!」
	銀時が顔を真赤にして掴みかかってくる。
	「そ、それって、俺が治ったってことは、お前とそーゆうことしたって宣言してるよーなもんじゃねーかァ!」
	「この事実は俺とじいさんしか知らねェ。なんの問題もねーだろうが」
	「あるよ!だってそれ、気絶するほどキモチよく逝かねーとこうならねェんだろ!?」
	「…アァ、」
	高杉はニヤッと笑う。
	「源外のじいさんは察するだろうさ」
	「ぎゃああ、イヤだァ、イヤすぎるぅぅ!!」
	「それよりよォ、おまえ…土方とは寝てなかったみてーじゃねェか」
	「…寝てねーよ、言ったろ」
	「寝てたとしても、テメーにさほどの快感はなかったってことだ」
	「なんでそう土方くんを貶めんの」
	銀時は向き直って嘆息する。
	「真選組の新居に初めて連れてかれたとき、土方くんに宣告された。もう挙式なんだし、いい加減あきらめろって。真選組で暮らすなら自分を受け入れろってさ」(46話参照)
	「……」
	「夜通し口説かれたけど、オレ、ついに『ウン』て言えなくてさぁ、土方くん、大泣きしちゃったんだよね。次の日、朝から目ぇ腫れて、真っ赤で、誰が見ても分かるくれー顔中すげーことになっちゃって」
	訪ねてきた神楽に、とてもドアを開けられず、土方の腹心を呼びに行ってもらった。(47話参照)
	地味な隊士が気の利くヤツで、凍ったタオルや冷却スプレーを持ってきて、なんとか腫れと赤味が引くまでアレコレ世話していった。
	土方は、それで銀時にその気がないことをなんとか飲み込んだが。
	やはりショックだったらしく、なにかの弾みに悲痛に叫ばれた。
	
	─── 苦しいのは自分だけだと思ってんのか
	    ちったぁ人の気も考えろ  
	
	「………だからオレ、土方くんとはなにも無ぇ」
	銀時は高杉を目に映す。
	「土方くんは最初から最後まで、アイツの武士道を貫いた。オンナになる薬を飲まされたと思ったらガキになっただけだった。目を開けてられないオレに、お尋ね者のジイさんに金払ってまでコンタクトレンズ用意してくれた。最後にはオレをその手で逃がしてくれた。アイツの大事な真選組がヤベーかもしれねーのに」
	「……フッ」
	高杉は目を伏せる。
	「銀時ィ、土方は最初からオメーを逃がすつもりだったぜ?」
	「あ、うん。そう言われた。逃がすときは自分の手で逃がしてやるって」
	「そうじゃねーよ。アイツはお前が白夜叉だという事実から、オメーを逃がそうとしてたんだ」
	「んぇ…?」
	「なんでマスコミを引っ張りこんだと思う? お前が性転換することを取材させ、挙式の騒動を逐一記録させ。そしてこりゃァ土方の想定以上の出来映えだろうが、お前が俺に連れられて過去へ消えていったところまで。なんのためにあの連中を居合わせるよう仕向けたか、考えてみりゃ明白だろうが」
	「なに、なんのため?」
	銀時は改めて考える。
	「そういや、あんな混乱になってもテレビ局のカメラが最後まで居たような居なかったような…」
	「ククッ…真選組がマスコミに流したかった筋書きは、『攘夷戦争の英雄らしき白夜叉は失明の憂き目に遭い、二度と戻れぬ薬で女体化し、すべての戦闘力を失った。その状態で真選組に嫁入りし抗争の表舞台から消え、何者かに担ぎあげられて利用される価値はなくなった』ってな具合だろうよ」
	「え。そーなの?」
	「だから俺が筋書きを変えてやったのさ、『女になった白夜叉は鬼兵隊の手で過去の世へ戻され、現世の人間の手の届かないところで、おそらく子を成した。もし白夜叉によく似た者が現世で見つかったとすれば』」
	「…すれば?」
	「『それは過去へ戻った白夜叉の血を継ぐ者だろう』とな」
	「それって…白夜叉によく似た者って、オレ?」
	自分を指す。
	「オレのこと言ってんの?」
	「そうだ。オメーはこの時代で堂々と表を歩きゃいい。オメーは白夜叉じゃねェ、白夜叉の子孫だ」
	頬にキスする。
	「幕府の奸物どもも他力本願の志士どもも、白夜叉じゃねェ子孫にはなんの責任も被せられねーからな」
	「あ、そうか」
	銀時が合点する。
	「俺はもう白夜叉じゃないわけね? この時代に白夜叉はいないんだから、俺は子孫にすぎねーってわけだ」
	「その通りだぜ」
	「あー、よかったァ!」
	ほんわり笑みを浮かべる。
	「一生、逃げ隠れして窮屈な思いしなきゃならねーかって心配してたんだよね」
	「そんなことにはならねーよ」
	高杉が頬をついばむ。
	「納得が行ったところで部屋に入らねーか。ここじゃ堅くて存分にできねェ」
	「入らねーよ、風呂行くんだから」
	銀時は改めて自分の格好を見下ろす。
	「うわー、ベタベタ。ここまでくるとキモチワルイ」
	花嫁衣裳の残骸を紐を解いて腰から外す。
	手で顔をこすって眉を顰める。
	「かぴかぴに突っ張ってんだけど。風呂どっち?こっち?」
	「…岩風呂と洋風タイルと露天、どこがいい?」
	「岩風呂!」
	言ってから首を振る。
	「岩風呂は却下、露天はアレなんで、洋風で。…なに、もしかしてオマエん家、風呂3つあんの!?」
	「あ?たぶんそのくれェはあるだろ」
	高杉が立ち上がる。
	「こっちだ。連れてってやらァ」
	「…いや、一人で」
	「そんなわけにゃいくめェよ」
	鼻で笑って高杉は、膝を突く銀時の前に支えの手を差し出した。
	 
	
	続く
	 
	 
	拍手ありがとうございます!
	こんなにいただけるなんて嬉しいです!
	
	右下に拍手レスがあります。