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【2020/02/21 23:26 】 |
第66話 気を引いても虚ろな世界(高銀)

*  高銀話です(連載中)

第66話 気を引いても虚ろな世界(高銀)


※『◯◯化あり閲覧注意』などの説明書きを必要とする方はお読みにならないで下さい。読まれる方は自己責任でお願いします。

 

「気になる情報?」

土方は言葉を拾う。

「なんだそりゃ」

「なァに、たいしたことじゃありません」

佐々木は表情も変えずに言う。

「白夜叉を逃したそうですね。鬼兵隊の高杉によって過去へ連れ去られたとか」

「……ッ、」

「報告は逐次、部下から送信されているものでね。連れ戻す手段もないとのことですが、この不始末。どう責任を取るおつもりです?」

手には携帯があり、視線はその画面を追っている。

「本日、挙式に参列される幕府の招待客は、力を封じられた白夜叉が精神的に真選組隊士に手篭めにされる儀式の場をサディスティックに楽しむつもりだったのですよ。逃したのであれば挙式は中止。真選組の立場が危うくなることは必至ですが」

つかみどころのない目つきで土方を見る。

「なんのために幕府が坂田銀時を婚姻相手として絶対に離すなと厳命したか、ご理解いただけてなかったのでしょうか?」

解っていないはずがない。

配偶者候補として銀時を申請したときの幕府の反応。

高杉と密会している白夜叉を、どのように引っ張ってきて詮議しようか、見廻組が検討していた矢先だった。

幕府は真選組に幽閉となる白夜叉の悲運を面白がって見廻組の捜査を打ち切らせたのだ。

いわば見廻組は獲物を横取りされたも同然で。

銀時が縁組みを拒んで真選組を飛び出せば、その場で見廻組は銀時の逮捕劇に全力を注ぐだろうことも見えていて。

なのに挙式当日、土方は銀時を自分の手で逃してしまった。

佐々木にしてみれば突っ込みどころ満載に違いない。

「フッ…」

土方はふてぶてしく佐々木を見る。

「なにか問題でもありますか?」

もともと決めていたのだ。

辻斬り事件が解決したら、折を見て銀時の望むところへ返そうと。

上がなにを言ってきても『離婚した』と突っぱねるつもりだった。

「白夜叉はこの世から消えたんですよ。しかも自らの希望で。幕府は英雄殺しの恨みを買うことなく要注意人物を始末することができた。おあつらえ向きじゃないですか」

銀時、お前は俺が逃がしてやる。

だからその間、お前と婚姻を交わす狂言を愉しませてくれ。

本人にはついぞ言わなかったが、自分は終始その腹だった。

「これで白夜叉が攘夷浪士どもに担がれる危険はゼロに等しくなりました。へたに真選組で抱え込むより過去へ行ってもらった方が反逆者たちとの接触が困難になり、我々の当初の目的に適う。そう判断したから行かせたんですよ」

口の端で笑う。

「嘘か誠か、時間を超えるなどと豪語していましたが。屯所周囲に万物を遮断する檻を仕掛けていたにも関わらず姿が見当たらないということは本当に過去へ行ったのでしょう。このまま高杉もなんらかのトラブルに巻きこまれて消えてくれれば一石二鳥というわけです」

「詭弁を弄しますね」

佐々木が平坦に見下ろす。

「たしかにその論でいけば貴方は忠実に任務を果たしたと言えます。しかし列席者は支度をされこちらへ向かっている。今から中止を告げるのは非礼に過ぎますよ。祝言を予定通り執り行えなかった真選組の問責は免れません」

「あれぇ、いつのまに中止って話になったんですか!」

近藤が進み出る。

「挙式は予定通り、これから執り行うつもりでおるんですが」

「おや。そうでしたか」

佐々木は近藤に向き直る。

捕獲剤の付着した着物をジロジロ見る。

ようやく地面から解放されたばかりの近藤は白い粘着片をこびりつかせていた。

「他に式を挙げるカップルがいらっしゃったとは知りませんでした。白夜叉以外、眼中になかったものですから」

わざとらしく首を傾げる。

「しかし、それで幕府の重鎮方が満足されますかな。我が見廻組としても警備の一端を担った手前、彼らの不興を買うような真似は歓迎しません。近藤さん、貴方が見廻組所有の最新銃を借りたいとおっしゃったから馳せ参じたんですよ。まさかこのような結末になろうとは」

「これは異なことを」

近藤は正面から佐々木を見る。

「俺の覚えてる限り、白夜叉の嫁入りを見届けるために屯所に隊士を配置したいとおっしゃったのは佐々木殿の方でしたな。屯所への立ち入りを渋る俺に、最新兵器の貸し出しを持ちかけて是非にと言われた。こちらから出動をお願いした事実はなかったように思いますね」

「そうでしたっけ?」

佐々木は肩を竦める。

「まあどちらでも良いでしょう。結果は同じことです。ですが白夜叉が絡まないのであれば我々がここに居残る旨味はない。エリート一同、機材ともども引き上げさせていただきますよ」

「引き止める理由はありません」

近藤が堂々と渡り合う。

「幕府の方々の警備は俺たちだけで十分です。なんだかんだ言って白夜叉がいなければ攘夷浪士の襲撃は半減するでしょうからな。佐々木殿も、白夜叉の逮捕は断念していただきたい」

「そうするしかなさそうですな」

佐々木はクルリと背を向ける。

「白夜叉が坂田銀時であると特定したときは胸が踊りましたが。もうどこにも存在しない人間です。伝説の英雄は過去へ還ってしまった。浪士どもの『巨大な餌(え)』とする計画は諦めます。エリートは暇じゃありませんから」

 

「銀ちゃんがどこにも存在しないってどういうことアルカ」

神楽は、ようやくカチコチの地面から外れてタタッと駆け出す。

「ヤバ男と一緒に結婚式から逃げただけで、すぐ帰ってこれるんでショ?」

「神楽ちゃん…」

新八は神楽に覗きこまれて座ったまま半笑いに見上げる。

「銀さんはね、過去へ旅立ったんだよ。もう僕ら…一生、銀さんに会えないんだ…!」

「そんなのイヤヨ」

神楽の頬がプッと膨れる。

「だったら銀ちゃんを行かせなかったアル。新八ィ、なに泣いてるネ。オマエ本当に銀ちゃんがワタシたち置いて過去に行っちゃったと思ってるカ?そんなんだからオマエは新八アル。銀ちゃんに関しても修行が足りないんだヨ!」

「そう…かな?」

新八は目を逸らす。

「そう、だと良いんだけど…な」

神楽の銀時への無邪気な信頼に一層、胸を締めつけられる。

なにを言っても、口を開けば繰り言しか吐けなさそうな新八は懸命に涙を堪える。

自分がしたことは正しかったのか。

もっと違うやり方があったのではないか。

「新ちゃん」

妙がゆっくり近づいていく。

「その真選組の制服、似合ってるわ。私は心配ばかりしていたけど。新ちゃんは、よく頑張ったのね」

「姉上…」

「私は新ちゃんの成長が嬉しい。きっと銀さんもそう思ってるんじゃないかしら?」

新八と並び立って妙はにっこり笑う。

「驚くことはないでしょう。銀さんはもともとチャランポランで軽率でいい加減な人よ。とくにあの銀時ちゃんは好きになった相手には股もゆるそうだったし」

「なんてこと言うんですか姉上ェェェ!」

「過去だろうと未来だろうと、ためらいもなく行くでしょうね。でもね」

まなざしを新八に向ける。

「新ちゃんや神楽ちゃん、自分の大切な人たちを悲しませるような人ではないわ。もし二度と会えないんだとしても、銀さんは貴方たちに笑ってもらえる自信があるんだと思うの」

「……本当に? それは…そ、そうかもしれませんけど、でも…」

「だから新ちゃんは銀さんにいつどこから見られてもいいように笑ってなさい。それが侍に対する侍の礼儀ですよ」

「は、はい。……はい、姉上…!」

新八は涙を飲み込む。

頭では解っていても、もう二度と銀時に会えない悲しさは消せない。

それでも笑うのが侍ならば。

笑って前を向こう。

「連絡入れなくてごめんなさい。これから気をつけます」

銀時の幸せをこんなにも純粋に願ったことがあるだろうか。

いさぎよく新八は空を仰いで立ち上がる。

 

「皆さま、ごらんになりましたでしょうか」

花野アナが人もまばらになった庭で中継を続けている。

「花嫁である坂田銀時さんは目の前で消えてしまいました。これは御自分の意志で過去へ遡っていった、つまり行方不明ということになるでしょうか。花婿である副長さんのお気持ちはいかばかりでしょう。こんな状況ですが、少しお話をうかがってみたいと思います」

「どうでもいいですが、アンタ」

土方へ近づこうとする撮影クルーの前を沖田が遮る。

「屯所から実況電波なんか飛ばせると思ってんですかィ」

「え…?」

「かりにも幕府の機密機関ですぜ。有線で中継車へ流してるならともかく、局の車両も来てねぇし、見たとこコードは繋がってねーな」

沖田も捕獲剤の名残を身体中に纏っている。

「アンタらが屯所内の撮影映像を無線で中継してるつもりなら、それぜんぶ撹乱されてどこにも届いちゃいませんぜ」

「え…ェェエーッ!?」

「外からの電波もキャッチして吟味してから通しまさァ。ここは見た目よりハイテクなんで。幕府のエリートの通信を妨害するなんてマネはできやせんが。民間のテレビ局の中継電波なんざ通しやせん。さっき近藤さんの許可をもらって屯所の門を入ったところからアンタたちの中継はとっくに途絶えてら」

「じゃ、じゃあスタジオからの応答がなかったのは…」

「向こうも連絡のつけようがなかったろーな。電波は遮断されてるし、道は検問で塞がれてるし。生中継でまったく繋がらなくて視聴者にどんな言い訳したのか興味あるぜィ」

「う、ウソ! えっ…どーしよう!?」

「カメラに記憶媒体仕込んであるなら映像は残ってるだろ。それ消すまでの技術は今んところないんで。確かめたらどうですかィ?」

「メモリー運ぼう!」

スタッフの一人が提案する。

「検問の外まで走ってけば渡せるはずだ、事情を説明して、これまでの映像を編集して流してもらえば、」

「こっちはどうする!?」

「とりあえず結婚式の絵がいる、花野ちゃんとカメラ、音声は残って。ライブは無理だから編集しやすいカットで撮って!」

「大目玉ですね、不味いでしょ」

「あとで花嫁のドキュメントで流せば数字取れるよ、こんだけ茶の間の興味煽ってんだ、おつりが来る。ここは俺たちは副長さん撮っとこう!」

アシスタントディレクターが土方を指す。

土方はなにも耳に入らない様子で佇んでいる。

「あの…いまのお気持ちはいかがですか?」

花野アナがマイクを向ける。

「花嫁の坂田さんは時間の向こうへ行ってしまわれたわけですが」

「………放っといてくれねぇか」

土方は沈痛な面持ちで煙草を取り出し、咥えて火をつける。

「なにも話すことはねぇ」

 

「平賀源外は?」

「無事、送り出しました」

山崎が近藤に耳打ちする。

「電磁波装置は危険だからって取り外していきましたよ。置いていくから自由に使ってくれって」

「そうか、タダで強力な装置が手に入ったな!」

「言っときますけど、あんなの俺らが再装着させるの無理ですよ。カラクリ技師じゃなきゃ手に負えませんし、タダはタダでもタダのゴミですから」

「え~、ウチにもカラクリ得意なヤツいるだろ。そいつらに頼もうよォ」

「マニュアルもないし装置に印がついてるわけでもない。ぜんぶ源外さんの頭の中なんです。ゴミにしたくなけりゃ、使いたいとき源外さんを連れてくるしかありませんね」

「うーむ…」


「おい近藤」

後ろから桂が声を掛ける。

捕縛剤から剥がされ、手錠をかけられた姿で隊士たちに両側から引き立てられている。

「俺になにを吐かせようというのだ。見てのとおり、今日のことに関して俺はお前たちと同じものを見ていた。高杉の動向も知らん。情報を取ろうとしても無駄だぞ」

「お前から尋問で役に立つ情報を引っ張れるとは思ってねぇさ」

近藤が桂を見て表情を和らげる。

「もっと違うことに役立ってもらおう」

「囮か。無駄だ。捕虜は見捨てるのが俺たちの掟。俺を気にかける者などおらん」

「それはどうかな。…山崎!」

「はい、局長」

「桂を連れていけ。念入りにやるんだぞ!」

「わかりました」

山崎は引きつり気味に敬礼し、気の毒そうに桂を見る。

桂は訝しげに見つめ返す。

 


「…で。銀さんは好きな男と過去へ行っちゃったわけか」

助けだされた長谷川は下着姿になり一張羅を枝に掛けて乾かしている。

「結局さ、政略結婚の前に銀さんが噂になってた意中の彼氏ってのが、あの鬼兵隊の人だったわけだよね?」

「よもやそんな噂があったとは!」

神山がグリグリ眼鏡を長谷川に向ける。

「人の口に戸は立てられぬというのは本当ですな!」

「まあ高杉も過去へは同行しないみたいだけどね。あんだけの別嬪をよく手放せるよね。さぞ不自由してないんだろうけどさ、ちょっと生意気っていうか? 俺なら銀さんを離さないけどな」

「しょせん高杉は幕府に楯突く犯罪者。なにを考えているか計り知れない、攘夷浪士はただ憎み検挙するべし! それに付いていった白夜叉も同罪!」

神山は言葉を切って考えこむ。

「しかし、あの高杉と白夜叉の関係は。互いを信頼し、求め合う姿は、自分と沖田隊長の結びつきを見ているようで! 敵でなくば喝采を送りたいところでありました!」

「あんなハクいんだもんな、反則だよな。中身は銀さんなんだからさ、お願いすれば一回くらいヤラせてもらえたんじゃないかなァ」

「自分もいつか、一回くらい沖田隊長と! 絆を確かめあうように互いの身体にガッツリと!」

「なに大声で縁起でもねェこと口走ってんでぃ」

「はぶぶっ!」

「さっき狙いを外した罰だ。一番隊の使ったバズーカ、ぜんぶ手入れして磨きあげときなァ」

「ババ、バズーカををっ!?」

はたかれた頭を神山は最敬礼で沖田に下げる。

「おまかせください隊長! 隊長のバズーカは、特に入念に、わたくしが責任をもって注意深く、優しく、それでいて大胆な指使いで…!」

「そんな責任感はいらねェからバズーカに詰まって打ち上げられちまえ。今日、一番隊は屯所の上の制空権を握っておく必要があった。その理由が解らねぇからテメーはヘリひとつ落とせねェんでぃ」

沖田は言い置いて立ち去る。

「午後は本番だ。うるさいハエを近寄らせんな。今度外したらテメーをヘリに括りつけて標的にするぜ」

「イ…イエッサー!!」

涙目で敬礼する神山。

見ていた長谷川は複雑な顔で言葉を失う。

 

 


「あのさ、高杉ィ…」

「なんだ。銀時」

「さっきから平らなところを走ったり曲がったりしてんだけど」

銀時は高杉の首にすがったまま抱きかかえられて運ばれている。

「これ、どう考えても現在の江戸の町ん中だよね!?過去ってのは町ん中走ってると着くわけ!?」

「気にするな」

高杉は可笑しそうに応える。

「そのうち着くからよ」

「気にするわぁ!どうやって着くんだよ!?」

銀時が叫ぶ。

「あそこでバーンてなったと思ったら、お前ものすごい勢いで俺抱えて走り出すんだもの、俺たちいつ時間を超えましたかァ!?そして車の音や商店街のスピーカーが聞こえてくるここは何時代ですかァ!」

「そんな簡単に時間を逆行できるわけねェだろ」

見下ろして高杉が笑う。

「まさか信じて俺に付いてきたってのかよ? ククッ…可愛いじゃねェか、銀時ぃ。テメェのそういう一途なとこ、嫌いじゃないぜ?」

「やっぱりフェイクかよ」

銀時が口を尖らせる。

「時間を超えるとかじゃなくて、ただデカい音と目眩ましであそこから脱出したってわけか。お前、いつからイリュージョンやるようになったの。いや解ってたよ、解ってたからね、時間なんか戻ることはできないって!」

「過去に行けるなら地球に降りた最初の天人から順に叩っ斬ってやらァ」

高杉が覗きこむ。

「どれ、見せてみろ。仲間と今生の別れのつもりで俺に付いてきたテメェのツラぁ」

「んぎゃあぁ、見るな!」

銀時は顔を隠すべく、もっと強く高杉にしがみつく。

「だから解ってたって言ってんだろ、テメェのハッタリかもしれねーし、本当に過去に行くかもしれねーから五分五分だって!」

「なら半分は奴等を捨てて行くくれェの覚悟をしたんだな?」

高杉の冷やかしは止まらない。

「そして俺とも別れる心づもりでいた。ずいぶん悲壮な決意をしたもんだぜ」

「う…うるせーつうの!その気にさせたのオメーじゃねぇか!」

銀時は白い頬を紅潮させる。

「まあ、ありえねーと思ってたよ! お前みてぇに一度気に入ったら魂の果てまで寄り添わねぇと気がすまない野郎が、俺だけ過去に送りつけて自分はもとの時代に帰るなんてよ」

「訂正しろ。気に入ったくらいでそこまでならねェ」

高杉はムッとして物言いをつける。

「惚れこんだ相手だ。俺が魂のすべてを捧げるのはお前くらいのもんだ。誰にでも執着するわけじゃねェよ」

「んな…、なにさりげなく恥ずかしいこと言ってんだよ、本人の前で」

「何度でも言ってやらァ。テメェは俺の最愛の人間だ」

「あ、…そ、それはどうも…」

銀時はモゴモゴする。

「俺も…俺もね、お前のこと…」

「…」

「い、いやその。察してください」

銀時は赤くなった頬を高杉の襟に押しつける。

「なにもかも振り切って、お前の判断に身ひとつで付いてきたってのが何よりの証拠だろ!」

「…そうだな」

高杉は満更でもなさそうに口の端をあげる。

「愛してるぜ、銀時」

「たかすぎ…」

「俺はお前を愛してる」

「ん…、俺も」

言葉をためらう銀時が、つられたように愛を口にする。

「お前を愛してる。高杉ぃ…」

「テメェが好きだ。もう離さねェ」

「マジかよ…信じちまうよ?」

「真実ほど信じにくいもんだ」

「信じて、やっぱり違ってたら…俺、死ぬ」

「そうしろ」

「そんときは、お前も殺す」

「望むところだ」

「テメー、抵抗すんなよ? お前に手向かわれると面倒だからな」

「しねェよ。この首、お前にやらァ」

「やだ。首だけじゃ動かねェ。身体ごとがいい。生きて動いて話せねェなら意味ねぇもの」

「首が却下なら生きたままテメーと居るしかあるめェよ」

「うん、そうしとけ」

高杉に顔を押しつけ、秘かに微笑む。

「んで…ここ、どこなの? どこあたりだか、さっぱり解らねーんだけど」

「薬のせいか? その身体になったせいで勘が鈍ったか、銀時ィ」

高杉の足が速度を落とす。

「まだ真選組の検問ラインの内側だぜ。ここに実家の別宅がある。身を隠すなら敵の近く、ってな」

「屯所の近く?」

銀時は少しの間、考える。

「じゃあ、あのう…俺を過去に捨ててかないってことは…オメーは、これからどうすんの?」

「しばらく潜伏してお前と二人で過ごす」

抱き締める腕が熱い。

「それには普段使わねぇ屋敷にもぐりこむのが至当だ。敵も味方も誰の邪魔も入らねェ。しばらくここは俺とお前の城だ」

 


続く

 


拍手ありがとうございます!嬉しいです。
暑いですね。
高杉さまと銀ちゃんも熱いからいいですよね!

そういえば60話あたりの賊の人数を間違えてました。
あとから直せるのがネット掲載のいいところですね。
まあ間違っててもストーリィになんの影響もないし、気にとめなくていいところなんですけども。
「?」ってなってた方がいらっしゃったらごめんなさい。

また来週、読んでいただけると嬉しいです。

 

拍手[17回]

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【2012/08/25 14:48 】 | 気を引いても虚ろな世界(高銀) | 有り難いご意見(0)
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