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【2020/04/07 23:28 】 |
第14話 気を引いても虚ろな世界(高銀)

*  高銀話です(連載中)


第14話 気を引いても虚ろな世界(高銀)

 

──ああ、コイツは一部の隙もなく終わらせようとしている。毛の先ほども俺に心を開く気はねぇ。

土方は腑に落ちた。
『高杉』が会話にチラつくたび銀時の態度が硬くなる。
あるかなしかの親しみさえも消し去り、言外に土方との繋がりを否定する。

「そうだな。間違ってねぇよ。取引は岡田の件が片付くまでだ」

イライラする。
銀時の自由な魂を縛ることはできない。
だがその無力感におとなしく絶望してやるなんざ、まっぴらだ。

「ただし、それまでお前は俺のモンだ。俺の求めに逆らうことは認めねぇ」

銀時を見る。

「それがたとえ身体の関係だろうと、婚姻届への署名だろうと拒むことは許さねぇ。それだけ誓え」

「……オメー自分で何言ってんのか分かってんの」

銀時の瞳が見返してくる。

「そんなん、オメーが虚しいだけだぜ」

「虚しいかどうか、テメーとの狂言を愉しませてもらおうじゃねぇか。それともテメーが護ろうとしてるモンは身体や紙切れにゃ引き換えにできねぇほど軽いモンなのか?」

「…てめェ」

睨むように土方を見ていた瞳に、しかし侮蔑は浮かばなかった。持て余したような困惑が怒りと共に放たれる。

「いいぜ、完璧な仮面カップルを演じてやらァ。お望みどおり禁じ手はナシだ。その方が辻斬り野郎が早く現れるかもしれねーからな」

銀時の瞳が、ふと力を失って沖田を見る。

「今の、沖田君が証人な」

「わかりやした」

沖田は神妙に頷く。

「土方さんの末路をこの目で見届けますんで安心してくだせェ」

「末路たァなんだ!」

土方が声をあげる。
沖田はそれに目もくれず、銀時は沖田を向いたまま思いついたようにその肩を叩く。

「そういや、アレだ。オメー神楽と新八、呼んでくんね?」

「かまいやせんが。呼んでどうするんで?」

「あいつらに説明しなきゃならねーだろ。オレ当分帰れそうにねーから」

「旦那。気持ちは分かりやすが、あいつらにだって真相をバラされちゃ困るんでさ」

「バラさねーよ」

銀時が即答する。

「あいつらに喋ったらどこまで広まるか分からねー。偽装だの狂言だのヒヤヒヤする間もなく俺は刑務所ブチこまれるね」

「わかりやした。土方さんとの偽装婚をチャイナと眼鏡に信じこませられるかどうか、小手調べってわけですね」

「神楽と新八さえ騙せりゃあとは心配いらねーよ。なんたってあいつらメシが掛かってっかんな」

ちらりと土方を見る。

「コイツと結婚して屯所に入るって話になるんだ。今までどおり外に出て仕事させてもらえねーみたいだし。だったら万事屋は廃業ってことになんだろーが」

「そのことだけどな」

土方が挟む。

「万事屋のガキどもには当分の間、生活手当が支給されるぜ」

「…そりゃありがたいけど」

銀時の表情が、いくぶん軟化する。

「ソレって、いくらくらい?いつまで?どっから出んの?」

「金はウチに回された嫁娶促進対策費から捻出する。金額は必要最低限の生活ができる範囲だ。期間は未定だが、お前がここにいる限り支給が止まることはねぇよ」

「なんだそれ。働くより実入りがいいじゃねーか。グラッと来たよコレ。身売りも悪くねーよ、どうしてくれんだ」

「知るか、俺が」

「それって表向き、万事屋が稼働しねーからオメーらが面倒見てくれるってことだよな」

銀時が嘆息する。

「やべェ。あいつら俺を売りかねねェ。帰るつっても敷居をまたがせてくんねーぞ多分」

「そいつァご愁傷さまで」

沖田は怪訝な顔をする。
あの二人なら金より銀時を取るだろう。
なのに銀時は二人を見誤っているのか。
それとも本当に彼らは金を選ぶのか。
つきあいの浅い沖田には判然としない。

「んじゃ、そういうことで」

銀時は腰をあげるべく膝を立てる。

「俺、厠行ってくるわ。ちょっと時間かかっかもしれねーからよ。その間にあいつら呼んどいてくれよな」

「そういやまだスッキリしてなかったんですねィ」

沖田も腰を浮かせる。

「手伝いやしょか。ついでに案内しやしょう」

「いらねーよ、場所もだいたい分かるから付いてくんな」

沖田を振りきって銀時は障子戸に歩き、手をかける。

「あ、そうそう。オメーらに言っとくけど。俺が風呂と厠とアクビのノビしてるときは邪魔すんな。手ぇ出してきやがったらテメーらの届かねぇとこで最悪の報復に出るかんな」

銀髪頭が振り向いて一瞬、酷薄な視線が二人を突き通す。

「俺も治外法権なんて興味ねぇんだけどよ。どうしても行かなきゃならねーんなら背に腹は代えられねーもんな」

その突き放すような瞳に、まるで二人の眼にはそれが別人のように映る。
したたかな変幻自在。
簡単に妥協して見せる一方で、本当に許さない領域に触れたら真選組の最も望まない方法で敵に回ると、おそらくは攘夷活動に加わると──否、もっと痛烈に俗世を捨てて高杉の元へ走ると宣言しているのだろう。
銀時の出ていった障子戸がピシャリと閉められる。

「…やべェ。土方さん」

沖田が閉まった障子戸を凝視している。

「旦那も好きだけど、今のアレ調教して躾けたいでさァ」

「……あんな顔すんだな」

土方はゾクリと戦慄に唇を歪ませて笑う。

「素顔を拝めるなんざ思わなかった。アイツ…あんな顔、見せやがった」

 

続く


私信:拍手ありがとうございます!

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【2011/02/10 19:48 】 | 気を引いても虚ろな世界(高銀) | 有り難いご意見(0)
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