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【2020/02/22 00:47 】 |
第12話 気を引いても虚ろな世界(高銀)

*  高銀話です(連載中)


第12話 気を引いても虚ろな世界(高銀)

 

「てっとり早く済ませようぜ」

土方が退くと銀時は、のそりと身を起こした。
その場に胡座をかきながら沖田と土方に向き直る。

「テメーら、そろそろ口割れや。俺はエサなんだろ。お偉いさんの目眩ましに祝言あげるってのも方便か」

「そっちは嘘偽りありやせん」

すかさず沖田が答える。

「ウチの独身率の高さは幕府(おかみ)からバッチリ目ェつけられてるんで。どっちかっていうとソレが本命でしてね。あとのクソみてェな計画は後から取ってつけたようなもんでさァ」

「そっちが本命?」

銀時は眉を顰める。

「だったらなんで俺なんだよ。世の中にはテメーらの嫁になれそうな女があふれかえってんだろーが」

「そりゃ、あそこにいた連中は旦那に懸想してるからでさ。あとはそれぞれ自分の狙いに奔走してるんじゃねェかな」

「なに、テメーらが懸想してるから俺が連れてこられたの?んじゃ俺がテメーらの意識にのぼらなかったら来なくて済んだわけ?」

「そうかもしれやせんね」

沖田がもっともらしく肯定する。

「近藤さんと独身野郎どもが酒飲みながら嫁さん談義してて、あっさり万事屋の旦那の名前が出て、アレ嫁さんに欲しいとか、アレが女だったらとか盛り上がって。どうせこんな想いは届きっこねぇって酔っ払いどもがクダ巻いて。そしたら近藤さんが、だったらアイツを嫁さんにする合法的なやり方を考えようじゃねェか、もうこのさい誰が娶っても構わねぇ、真選組の嫁さんになってもらわね?って流れになったんでさ」

「どっからツッコンでいいのか分からねー。とりあえず嫁さん談義に俺の名前を出したバカを殴らせろ。嫁ってのは亭主と共同作業してガキ産むもんだ。俺にそんな特殊能力はねぇし。好きこのんで獲得するつもりもねぇ」

「旦那が岡惚れして熱愛カップルになれば自然とガキが欲しいって話になるでしょ。そんときウチ(真選組)には天人の性転換薬があるから、いくらでも二人を後押しできるだろって近藤さんが言ったんでさ。そしたらすっかり隊士どもに旦那の女体を抱く夢想が広がっちまいやして」

「さっきの奴らが言ってたのはソレ?」

「不愉快なモン耳に入れちまいやしたね」

「別にどうでもいいぜ。俺はテメェの体を女にしようなんざ思ってねーから」

「そいつァ残念なことで」

「けどよ」

銀時は考えをめぐらせながら沖田と土方を見る。

「祝言が本命ってことは、オメーら上への体裁をつくろいてぇんだろ。本当に辻斬り事件が終わったらウチに帰っていいんだろな?子作りがどうとか言ってるし、偽装を終わらせる気あんのか?なんだかこのままウヤムヤのうちに結婚させられてテメーらの中に取り込まれそうなんだけど」

「そこまでやる気はねぇよ。ある程度のケリがついたらオメーは自由の身だ」

「…と、土方さんはこんなこと言ってますがね」

沖田は、口を挟んできた土方を見やる。

「そんな都合よくいくわけねぇでしょう。旦那は入籍するんでさァ。公的な結婚ですぜ。そのまま屯所に閉じ込められて無理やり女にさせられて子供でも孕んじまえば逃げられねェ。しかもその相手はこのままでいくと土方さんですぜ。よく考え直しなせェ」

「………エ?」

「そっ、総悟ォォォ!」

目が点になった銀時に、沖田を一喝した土方が向き直る。

「そんな事実はねぇ!ありゃアイツのでまかせだ。勝手に入籍なんかしねぇし、オメーの意志を無視してコトを進めることもねぇ!」

「嫌がる旦那にセックスを強要しようとしていた男がなに言ってんでぃ。キレイ事はやめましょうや、土方さん。かぶき町で旦那が俺たちのところへ来たときから旦那は俺たちの捕らわれ人だ」

沖田は銀時に真顔で告げる。

「アンタ、暫定花婿の土方さんに半強制的に性行為を強いられる捕らわれの花嫁なんですぜ。暫定花婿を撤回しないと大変なことになりまさァ」

「でたらめ言うなァァ!コイツは俺を選んだオメーの決定を覆したいだけだ、耳貸すんじゃねェェェ!」

「……んなこと解ってるつーの」

銀時はダルそうな眼で土方を見る。

「だからお前を選んだんだよ。撤回なんかしねーよ。話進めていい?」

「…ア?」

土方は、沖田も銀時を見る。

「撤回しないんですかぃ?」

「…それで選んだって、どういう事だ?」

「どうって…」

銀時は目を逸らして銀髪の中へ指を差し込む。頭を掻きながら、その話題を片付けなくては先に進めないことを悟って口を開く。

「お前は俺に非道いことしねーだろ?沖田君や他の誰かが強攻策に出ても、お前だけは俺を裏切らねェ。お前はお前の武士道に背くことはねぇんだよ。それはお前と刀まじえた俺が一番よく知ってるかんな」

「…」

虚を突かれた土方は銀時を見たまま固まった。
言うべき言葉が出てこない。
銀時に見込まれている事実に身が震え、同時に哀しみが髄まで広がる。
俺は何故、コイツを得ることができねぇ。
ここまで心を差し出しておきながら、コイツはなんで裾をひるがえして遠ざかっていくのか。

「お前らが俺を逃がす気がないのは分かってた。オメーらの思惑はイマイチ読めねぇ。だったら俺はオメーの信条に縋るしかねぇだろが」

銀時は土方を見ない。

「祝言も処遇も、オメーがそうするってなら、もう逃げようがねぇ。きっとオメーは誰より考えてそうするんだろーし。俺にとってお前が選ぶ道が一番、納得しやすい理不尽なんだよ。だからお前だ。解ったか。解ったんなら次いくぞ、次」

「つまり土方さんは御(ぎょ)しやすいってことですね」

ポンと手を打って沖田が言う。

「たしかに狙い目どおりでさァ。さっそく胸を打ち抜かれてやすぜ、旦那の追いつめられた人質が誘拐犯を懐柔するような熱の入った演説に、俺ァコイツに非道いことなんかできねぇ…!って眼で決意してますぜ」

「オメーはいちいち台無しにすんじゃねーよ」

銀時は平坦に言う。

「もうちょっと押せば土方君が俺を解放してくれたかもしれねーのによ」

「だから土方さんと二人きりにするのはマズイんでさァ」

「って言いながらオメーはコイツを放っとけねーよな。そんなにコイツが俺に取られるか心配?」

「できればどっちも手に入れてぇとこなんで。いっそ三人でヤりやせんか?」

「オメーのそのあけすけなところが気に入ってるけどよ。三人とか無理だから。辞退するから二人でどーぞ、俺の見てないところで」

「見えなきゃいいんで?だったら目隠ししてやりまさァ。音だけってのも燃えますぜ」

「だから参加しねーから俺は。それよりボッキリ話の腰を折ってくれてありがとよ。再三聞いて悪りぃけど、コイツの言ってた『おびき寄せる』って誰を?どうやって?」

銀時の眼が沖田を見据える。

「オメーが入って来なきゃ土方君に洗いざらい聞けたんだよ。邪魔したんだからキッチリ吐けよな。オメーのオープンマインドを見込んで引き止めたんだからよ」

「それと土方さんにこれ以上、性交渉を迫られちゃたまらねーから第三者(オレ)が必要だったんでしょう?」

「そんな細かいところはいんだよ」

「自信なかったんですねぃ。旦那も自分の欲求に流されやすい素直な身体してやがる」

「うっせーよ!それこそどーでもいんだよッ」

「『誰をおびき寄せるか』って?そりゃァ、旦那が他の男とイチャイチャしてたら怒り狂う野郎に決まってまさ。旦那もよく知ってる、あの」

ニヤと笑った沖田の唇がその音を辿った。

「……鬼兵隊首領、高杉晋助」

 

続く

拍手[7回]

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【2011/02/04 20:03 】 | 気を引いても虚ろな世界(高銀) | 有り難いご意見(1)
<<〈生きてます〉 | ホーム | 第11話 気を引いても虚ろな世界(高銀)>>
有り難いご意見
続・沖田のターン!
繰り返しになりますが、やっぱり沖田君は難しいです…
この小説の沖田君のセリフは既出の分も含めかなり繰り返して読んでるのですが(どんだけ通ってんの)、この平坦なようでクセのある言葉づかいはかなり難易度が高い気がしますorz
いつか、そのうち…(遠い目)

死んだ魚のような眼はあくまでも爪を隠すため、と言わんばかりの銀さんの策士っぷりに惚れます。というかむしろ惚れたらあかんなと思います(>_<)
銀時は見かけによらず人間観察が妙に鋭いというか、人の機敏にすごく敏いですよね。もちろん原作でも。人の考えとか心中に敏感すぎるから、あえて鈍感なふりをしているように思えてなりません。
だって自分に思いを寄せてる老若男女の心中にいちいち構っていたら身がもちませんしね…( ̄∀ ̄)
「刀を交えたから分かる」なんて、武士に対する最大の賛辞じゃないですか。まったく罪な男だ坂田銀時…

それにしても土方君をほとんど置き去りで(笑)丁々発止のやりとりをしている銀時と沖田がカッコよすぎですね…!
マンガは絵だからこそ楽しめる部分も多分にありますが、こういう会話劇はやっぱり小説ならではだなあと思います。
さらっと「3人で」なんて美味しいセリフを吐いてくれるあたりもニヤッとしてしまいますね~。
でも3人だったら主導権は確実に沖田君が…(妄想中)

そしてラストの一文、連載小説としてこのシメ方は反則でしょう!うますぎる…っ
ついに出しやがった(やがったって)「高杉晋助」の名前。よくもここまでのらりくらりと隠したなあ真選組ィィ!嫁談義は(銀ちゃんがちょっと恐怖を感じるくらい)本気だったでしょうが、高杉狙いであることに銀ちゃんが気づかないわけがない。
愛する彼氏が狙われてるとあっては、銀ちゃんもタダでは屯所を出られないですよね。はーどうなってしまうんでしょうか。
というかこんなに長い小説を最初から伏線張りながら書き続けていることが私には驚異です。いや、小説書こうと思うならこれくらい普通でしょと言われればこうべを垂れるしかないんですがorz

末尾になりますが、このブログのカウンターは常ならざる回り方ですね。私は恥をさらしているだけでは…?orz
←改める気もないくせに

――長々失礼しましたm(_ _;)m
また来ます…
【2011/02/06 17:57】| URL | mike #5ad3eac790 [ 編集 ]
コメントと拍手レスありがとうございます!
mikeさん

mikeさんに繰り返し読んでいただいてるなんて嬉しいです。
難しい沖田君ですが、是非、原作ばりにmikeさんの世界で活躍してもらいたいです!

原作の銀ちゃんは怠惰なことを言いながらも人の気持ちを察して動く一面がある気がします。その銀ちゃんの雰囲気が少しでも出せていたら嬉しいです。読み取ってくださってありがとうございます。(o^∇^o)
そうですよね、銀ちゃんは「良い人」って思われたり、好かれたりすることに抵抗感があるとしか思えません。きっと過去にいろいろあったんでしょう、察してあまりありますよね(笑)

土方さんは銀ちゃんにとって運命の人なんだと思います、高杉さえ居なかったら。
銀ちゃんも彼のことすごく好きなんだろうと推測…いや希望的観測?
原作でも微妙に土方さんを尊重してる銀ちゃんの心境を考えると萌えてくるものがあります。
土方さんを置き去りに沖田君とばかり話しちゃう、沖田君とノリノリで掛け合いしちゃうというのは、銀ちゃんが沖田君とウマが合うのはもちろんですが、なおかつ土方さんを意識しすぎなのよ、って私が原作から受けた印象そのまんまに書かせていただきました。この3人でいつか是非仲良くプレイしてもらいたいと思います。


12話ラストに出てきた名前ですが、いろいろお褒めをいただいて有頂天になっちゃった私ですが、実は13話のような顛末です。それぞれ、まだ腹に一物ありながら進行している状況で、それを順序よく書いていけたらいいんですけど、このへんは頭がスッキリしてないと思うように書けなくて遅々たる歩みです。
私もこんな長くなる予定じゃなかったんですが、ページの制限がないと書きたいように書かせてもらえていいですね。← 伏線とか張れてるんでしょうか…そんな緻密な技を駆使できてるといいんですけど!

mikeさんがコメントくださるのが、すごく励みになってます。
カウンターも、ものすごくありがたいことですけども、もしかして私が更新時にグルグル回してるのが加算されてるのかもしれません。恥ってなんでしょう、私がmikeさんとこの元ネタも分からないのに面白がって笑ってるとか、そんな状態のことですか?なんかコメントしたいのに、よく分からなくてスゴスゴ引き下がってくることでしょうか?
ええ私も改める気もないんですけど(*゚▽゚)


即拍手、ありがとうございます。
「おおっ!」って驚きましたけど、それはすごく嬉しい驚きでした。
コメントもいつも鋭くてタジタジです。
内容にかかわることも多く、細かくお返事できなくてすみません。
これに懲りず、またご意見をお待ちしていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
体調管理は切実ですよね。
このごろものすごくインフルエンザが流行っているらしいです。
mikeさんもお引っ越しの最中でお疲れのことと存じます。
睡眠不足にはくれぐれもお気をつけください。
あ、あと雪も!
ダンボールはゲットできましたか?
離れた地から恙無く引越しが進みますようお祈り申し上げています(*^▽^*)
【2011/02/09 19:33】


貴重なご意見の投稿














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